中小企業診断士の一次試験の科目「企業経営理論」は、企業経営の基礎となる知識が多く2次試験との関連も深い、最重要な科目です。
難しい内容の理論も多く、試験問題も長文・難解なため対策に苦労することが多い科目です。
私が企業経営理論の勉強を始めたばかりの頃は、以下のように感じていました。
- ビジネス知識が増え、勉強していて楽しい科目!
- 過去問解くと眠くなる科目、、
- 問題文が理解できない、、
- 選択肢のすべてが正解に見える、、
試験範囲が広く、覚える量が膨大なため知識のインプットに重きを置いてしまいました。
しかし、過去問を解いてみると全然解けない、という事態に。。
企業経営理論の試験問題は、長文で曖昧な表現も多いため、過去問を繰り返し解き問題に慣れアウトプットの対応力を高めることが重要でした。
私は、企業経営理論の科目合格に2年かかってしまいましたが、最初から合格に向けた実践的で効率のよい勉強をしていれば1年で合格できたのではと思います。
ここでは、経営企業理論の試験内容や難易度、より実践的で効率良い勉強法を紹介したいと思います。
中小企業診断士試験の合格率や難易度と特徴は、別記事で詳細解説しているのでこちらも参考にしてください。
企業経営理論の内容と難易度
平均合格率:18.2%(直近6年)
2次試験との関連:事例Ⅰ/Ⅱ
- 暗記科目
- 単純な用語理解ではなく、深い理論や応用力が必要
経営戦略論、組織論、マーケティング論など企業経営の基本となる分野で、管理職や経営企画などの職の方には馴染みが深い内容で、企業経営の分析や事業戦略など幅広い知識が問われます。基本的に暗記科目ですが、中身を理解していないと回答できない問題が多く、出題文章に独特の言い回しやクセがあるので、過去問を繰り返し解く必要があります。
試験概要・出題範囲
項目 | 概要 |
---|---|
試験時間 | 90分 |
配点 | 100点満点 |
問題数 | 40~43問ほど |
試験日 | 1日目 3科目目 |
試験時間は90分、問題数が40~43問ほどなので、1問当たり約2分ほどで解く必要があります。問題文と選択肢ともに長文が多く、難解な言い回しが多いため時間的な余裕はほとんどありません。
出題範囲は大きく分け、以下の3分野です。
- 経営戦略論
- 組織論
- マーケティング論
以下は、令和6年度の1次試験案内に記載されている、試験範囲です。
科目合格率・難易度・勉強時間
過去6年間の企業経営理論の科目合格率は、7%~34%とかなり振れ幅があります。この科目に限った話ではないですが、年によって難易度が乱高下します。
- 科目合格率に試験合格者は含まない
必要な勉強時間は、人によりますが150時間ほどと言われています。以下で解説しますが、2次試験との関連も強い科目なので、時間をかけて勉強する必要があります。
2次試験との関連
2次試験の事例Ⅰ(組織・人事)、事例Ⅱ(マーケティング・流通)に、企業経営理論の論点が出題されます。
2次試験では、直接用語の意味を問われるような問題は出ませんが、企業経営理論の知識を前提とした解答を求められます。
例えば、
「これまで、A社は○○製品が市場に認められ一定の収益をあげてきた。その成功の背景と要因を100字以内で答えよ。」
解答として、単純に出題文をなぞるのではなく、A社のSWOT分析の結果や事業ドメイン、競争戦略などの観点から解答文を構成する必要があります。
解答文を構成するためには、企業経営理論のさまざまな知識が求められることになります。
企業経営理論の効率的な勉強法
独学の方も予備校受講者も同じく、私も実践していた効率的な勉強法を紹介したいと思います。予備校を受講する方も、大まかな勉強のスケジュールは予備校の講義に従いますが、普段の勉強(特にアウトプット)は独学の場合と変わりません。
効率的な勉強法とは
企業経営理論は勉強しているとビジネスでも役立つ知識が豊富で楽しくなってきます。インプットに偏りがちですが、重要なのはアウトプットです。
特に予備校を受講している方は、講義はインプットがメインなのでアウトプットは自分で行う必要があります。
企業経営理論では、単純に知識を問う問題はほとんど出ません(丸暗記では対応できない)。各分野や用語に関する深い論点を問われます。
ざっと全体のインプットが終わったら、早めに過去問を解いてみてください。初めて見ると、問題文の文字の多さと問題量に愕然とします。出題文や解答選択肢は長文が多く、難解な言い回しや曖昧な表現が多くあります。
私も受験初年度は、文字が多すぎて読む気がせず、後回しにしてしまい、後で対策に苦労しました。けっきょく1年目は不合格、2年目に科目合格することができました。
そのため、早めに過去問を繰り返し解き、問題文に慣れる必要があります。また、過去問解説で理解していなかった論点を確認しインプットを増やすことも重要です。
独学の方も予備校受講者も同じくですが、インプットとアウトプットを繰り返すことで、対応力を高め知識を定着させることが大事になってきます。
- 参考書・テキストで大まかな知識をインプット
- 過去問・演習問題でアウトプット
- 分からない点を解説やテキストで再インプット
- 過去問・演習問題でアウトプット(過去問は最低でも過去5年を3周する)
- ・・繰り返し・・
演習問題(TACスピード問題集など)は、時間に余裕がなければ過去問優先をおすすめします。参考書と実際の問題では、日本語の言い回しが異なるので、過去問で実際の問題文に慣れることを優先した方が良いです。
企業経営理論の頻出論点とは
企業経営理論の頻出論点を以下の記事でまとめています。
が、ここで紹介している内容はあくまで用語レベル、これだけ覚えても問題は解けません。過去問学習が必須の科目で、より深い論点の知識定着が求められます。
おすすめのテキスト・過去問題集
企業経営理論を独学で勉強する方に、おすすめのテキストと過去問題集を紹介したいと思います。
テキスト
TAC出版のスピードテキスト、通称「スピテキ」。多くの書店で扱われている人気の参考書です。
科目別になっており体系的に学ぶことができます。論点毎に過去の試験の出題傾向も分析されていて、メリハリを付けた学習ができます。
過去問題集
過去問題集は、「論点別」と「年度別」にまとまっているもの2種類があります。好みで選べば良いと思います。
ちなみに、過去問は中小企業診断協会のホームページからもダウンロードが可能です(問題だけ、解説はなし)。実際の試験問題用紙に書き込んで解きたいという方は、問題をダウンロード印刷し繰り返し利用が可能です。
私は、タブレットに10年分くらいダウンロードして持ち歩き、外に出たときにいつでも問題が解けるようにしていました。
「過去問完全マスター」
過去10年分の過去問が各科目で論点別に掲載されています。問題毎に出題頻度が記載されているので、苦手な論点や頻出論点を集中して効率よく解くことが可能です。
「最速合格のための第1次試験過去問題集(TAC出版)」
こちらはTAC出版の過去問。過去5年分が年度別に掲載されます。TACでデータリサーチによる正当率が記載されています。
企業経営理論の効率良い勉強法まとめ
企業経営理論は、中小企業診断士として基礎となる知識です。
試験対策上も2次試験との関連が深く、しっかりとした知識を定着させる必要がある科目です。過去問などのアウトプットの学習が重要で、早めに過去問学習にとりかかり、インプット→アウトプット→インプット→・・を繰り返すようにしましょう。
中小企業診断士試験の合格率や難易度と特徴は、別記事で詳細解説しているのでこちらも参考にしてください。
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