私が中小企業診断士に合格した令和4年度の2次試験の再現答案をまとめてみました。
事例Ⅲは、4事例のなかで最も低い点数でした。この解答でこの点数という参考になればと思います。
ちなみに、2次試験の得点は以下の通りで、合計246点のギリギリでの合格でした。
- 事例Ⅰ:57点
- 事例Ⅱ:67点
- 事例Ⅲ:51点
- 事例Ⅳ:71点
飛び抜けて低い点がなかったのと、事例ⅡとⅣで得点を稼げたのが合格のポイントだったかと思います。
試験中の大まかな流れ
私が、2次試験の事例Ⅲを解く際の大まかな流れを紹介します。
- 与件文の1段落目を読み、設問を読む
- 与件文の残りを読む
- 与件文の内容をどの設問に充てるか切り分け
- 解答案を考える
- 解答を記述する(できる問題から)
時間はあくまで目安です。ただ、残り30~40分になったら解答を書き始めるようにしていました。過去問を解くなかでそれくらいの時間がないと、私の場合、解答を書ききれなかったからです。
まず、他の事例も共通ですが、2次試験では色ペンの使用が認められています。重要な箇所やグループ分け等で色ペンを使えます。
また、問題用紙の空白・白紙はメモとして使用できます。そのため、白紙部分を分けるために、紙を破る方が多くいて、試験開始の合図と同時にビリビリと音が教室中に響きます。初めて受験した際は少しビックリしました。。
ちなみに私は、机の上が散らかるのが嫌なので、破らない派です。同じ理由で色ペンも使いません。シャーペンと消ゴムのみ。
与件文の最初の部分だけ読み、事例企業の概要(業種、社員数、規模感、地域)だけつかみます。だいたい1段落目に書いてあります。
次に、与件文をすべて読む前に設問を先に読み、設問の数や内容を大まかに把握します。
与件文の残りを読み込みます。各設問に関係しそうな箇所の当たりをつけながら与件文を読むようにしていました。
読みながら簡単なSWOTを白紙にメモしていました。
解答案の作成の前に、与件文の内容をどの設問に割り当てるか切り分けをしていきます。
もちろん重複はありますが、与件文に記載されている内容は何かしら解答に使うために記載されています。解答には字数制限があるので、すべての与件文の内容を盛り込むことはできません。
設問を行きなり上から順に書き始めると、この内容は次の設問で使う内容だった!ということに後から気付き、書き直すことになってしまうので、事前にある程度の切り分けをし各設問間のつながりを意識してから解答を書き始めるようにしています。
与件文の切り分けをした結果を元に、各設問で何を問われているかを見極め、最適な与件文の内容を元にした解答を作成していくことになります。
重要なのは、できる問題から解答することです。
1つの設問にハマりすぎるとあっという間に時間がなくなります。満点を目指す試験ではないので、自分の解ける問題・皆ができるであろう問題は確実に解答することが重要です。
あくまで私の場合の話なので、自身で過去問を何度も解き自分なりのスタイルを見つける参考にしていただければと思います。
再現答案
私の事例Ⅲの再現答案です。点数が51点なので、各設問で半分づつくらい部分点がもらえていたのではないかと思われます。
第1問
- 設問(配点20点)
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2020年以降今日までの外部経営環境の変化の中で、C社の販売面、生産面の課題を80字以内で述べよ。
- 再現答案
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販売面は、外食産業の受注が減少しており、それ以外の業種からの受注増が必要。生産面は、顧客の小ロット要望に対応し作り過ぎを防止し過剰在庫を削減する。
あらためて振り替えると、専門用語が乏しい。。新規事業拡大や販路開拓、生産計画、生産統制など簡潔な日本語を使えば良かったと思います。
試験中に頭が回らず、与件文の文言をそのまま使うことが多く、ややチグハグな文章になっているのが点数が伸びなかった要因の1つではないかと思ってます。
過去問学習で、解答によく使うワードや専門用語がスラスラ出てくるように訓練を積む必要があります。
第2問
- 設問(配点20点)
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C 社の主力製品であるプレス加工製品の新規受注では、新規引合いから量産製品初回納品まで長期化することがある。しかし、プレス加工製品では短納期生産が一般化している。C 社が新規受注の短納期化を図るための課題とその対応策を 120 字以内で述べよ。
- 再現答案
-
課題は、①発注元との使用確認や設計変更、仕様変更を削減すること②設計課が板金加工製品の設計も担当し混乱が生じているため効率化を図ること。対応策は、①試作確認の段階で顧客に確認してもらい手戻りを削減する②金型設計の担当者を専任化し効率化を図る。
与件文に「2次元CADを使用」とくれば、「3次元CADの利用で生産効率化」は定番ですね。
なぜ、これが本番中に出てこなかったか、、与件文の見落としやそれ以外の要件にとらわれすぎていたか。
後で落ち着いて読み返すと、あぁ~となることが多々あります。いかに試験中に落ち着いて取り組めるかは、事前の準備にかかっていると思います。過去問を繰り返し解くと、定番の論点は多いので自分の中でいくつかパターンを作っておくと、本番中に迷走することが減ると思います。
第3問
- 設問(配点20点)
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C 社の販売先である業務用食器・什器卸売企業からの発注ロットサイズが減少している。また、検討しているホームセンター X 社の新規取引でも、 1 回の発注ロットサイズはさらに小ロットになる。このような顧客企業の発注方法の変化に対応すべきC 社の生産面の対応策を 120 字以内で述べよ。
- 再現答案
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対応策は、①発注ロットサイズに応じた生産計画を行う②プレス加工以外も含めた全社的な生産計画と人員配置の最適化③段取り作業の効率化と増員、これらで小ロット生産への対応力を高める。
生産面の課題なので、生産計画・生産統制の論点で考えました。
ただ、他の設問と同じく日本語(専門用語)が乏しい、、
特に事例Ⅲは、専門用語を使う頻度が比較的多い印象なので、言葉がスラスラ出てくるよう過去問学習で意識することをおすすめします。
第4問
- 設問(配点20点)
-
C 社社長は、ホームセンター X 社との新規取引を契機として、生産業務の情報の交換と共有についてデジタル化を進め、生産業務のスピードアップを図りたいと考えている。C 社で優先すべきデジタル化の内容と、そのための社内活動はどのように進めるべきか、120 字以内で述べよ。
- 再現答案
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内容は、①紙で行われている社内業務の情報共有②ベテラン技能者のスキルや暗黙知。社内活動は、①業務プロセスを洗い出し標準化し、デジタル化しPC上で情報共有できるようにする②暗黙知の形式知化、標準化を行い、マニュアル化し社内に共有、育成に活用する。
設問の的が絞れず、かなり詰め込んだ解答で字数制限に収めるため修飾語などを大分削っているので、解答文だけ読むとやや意味不明な日本語ですね。
他の方の再現答案を見てみると、もう少し的を絞り「活動内容」の助言を厚くした方がよかった印象です。
第5問
- 設問(配点20点)
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C 社社長が積極的に取り組みたいと考えているホームセンター X 社との新規取引に応えることは、C 社の今後の戦略にどのような可能性を持つのか、中小企業診断士として 100 字以内で助言せよ。
- 再現答案
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X社の要望に対し、高品質な金型製作でコスト低減を図りX社の評価を高める。それにより、高価格な製品の受注につながる可能性がある。また、X社との取引実績により、その他取引先の拡大が期待される。
最後は事業戦略に関する設問。
「機会+強み」を意識しました。が日本語に迷走感があふれます。。
「戦略は、(強み)を生かし○○すること。具体的には~~、その結果(効果)となる。」みたいに書けると伝わりやすい文章になった化なと思います。
2次試験再現答案(R4年・事例Ⅲ)まとめ
私の事例Ⅲの再現答案でしたが、だいぶ解答に迷走が見えました。
それが点数にも表れ、結果は、51点でした。
専門用語が乏しいのと、的が絞りきれておらずワードを散りばめただけの解答文になっている事が点数が伸びなかった要因ではないかと思います。
また、各設問は独立していますが、事例企業の強みや問題点、課題は共通なので、設問1で課題を問われた場合は、後続の設問でその課題の解決策を助言するという流れにすると、より一貫性のある解答になると思います。
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10年分(H19~H28)の再現答案と答案分析をまとめたもの。
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