中小企業診断士2次試験の再現答案(R4年・事例Ⅳ)と解き方の例まとめ

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私が中小企業診断士に合格した令和4年度の2次試験の再現答案をまとめてみました。

事例Ⅳは、4事例のなかで最も高い「71点」という結果でした。ただ、手応えは皆無で試験後は「終わった、、足切りかも、、」と思うほどでした。

完全に解答ができた設問は無く、試験中もかなり焦りましたが、諦めずに解答を埋めた事が最終的に良かったのではないかと思います。(かなりの部分点を貰えたと想定される)

ちなみに、2次試験の得点は以下の通りで、合計246点のギリギリでの合格でした。

  • 事例Ⅰ:57点
  • 事例Ⅱ:67点
  • 事例Ⅲ:51点
  • 事例Ⅳ:71点
中小企業診断士2次試験点数(R4年度)

飛び抜けて低い点がなかったのと、事例ⅡとⅣで得点を稼げたのが合格のポイントだったかと思います。

目次

試験中の大まかな流れ

私が、2次試験の事例Ⅳを解く際の大まかな流れを紹介します。

事例Ⅱの解答の流れ
  • 与件文の1段落目を読み、設問を読む
  • 与件文の残りを読む
  • 設問1(経営分析)を解答
  • 解ける問題から解答
  • 分からない問題もとにかく書く

時間はあくまで目安です。

STEP
準備

まず、他の事例も共通ですが、2次試験では色ペンの使用が認められています。重要な箇所やグループ分け等で色ペンを使えます。

また、問題用紙の空白・白紙はメモとして使用できます。そのため、白紙部分を分けるために、紙を破る方が多くいて、試験開始の合図と同時にビリビリと音が教室中に響きます。初めて受験した際は少しビックリしました。。

ちなみに私は、机の上が散らかるのが嫌なので、破らない派です。同じ理由で色ペンも使いません。シャーペンと消ゴムのみ。

STEP
①与件文の1段落目を読み、設問を読む(5分)

与件文の最初の部分だけ読み、事例企業の概要(業種、社員数、規模感、地域)だけつかみます。だいたい1段落目に書いてあります。

次に、与件文をすべて読む前に設問を先に読み、設問の数や内容を大まかに把握します。

STEP
②与件文の残りを読む(5分)

与件文の残りと貸借対照表、損益計算書に目を通します。

設問1で経営分析が出題されるので、与件文から問題になりそうな指標や良い指標となりそうなトピックに注意して読むようにしています。

STEP
③設問1(経営分析)を解答(15分)

私はまず、設問1の経営分析から解答するようにしています。

その他の設問と比較して解答可能性が最も高いため、時間に余裕のある段階でミス無く解答するためです。他の受験生も解けているはずの問題なので設問1を間違えると命取りになります。

STEP
④解ける問題から解答

事例Ⅳは、設問間の関連がほぼ無いので、解ける問題から確実に解きます。自分のできる問題を確実に解答することが重要です。

計算に行き詰まったら飛ばして次の問題に行きます。自分の目安は10分考えて計算に行き詰まったらとばすようにしていました。

STEP
⑤分からない問題もとにかく書く(残り10分)

分からない問題も諦めずに何か書きます。

事例Ⅳは計算の途中式も記述する設問があるので、解けなくても何か書きます。投資判断の問題であればNPVの基本公式だけでも書きます。

難しいと感じる問題は、他の受験生も解けていません(たぶん)。いかに部分点をもぎ取るかが重要です。

特に、最後の設問は単純な用語問題が出題されるので、時間切れで書けなかったということがないように、知識を捻り出して書きます。

あくまで私の場合の話なので、自身で過去問を何度も解き自分なりのスタイルを見つける参考にしていただければと思います。

再現答案

私の事例Ⅳの再現答案です。

が、計算問題がかなり迷走し最後まで解ききれた問題はなく、メモを残す余裕もなく再現度は3割程度です。ごめんなさい。

第1問(配点25点)

設問1

D 社と同業他社の財務諸表を用いて経営分析を行い、同業他社と比較して D 社が優れていると考えられる財務指標を 2 つ、D 社の課題を示すと考えられる財務指標を 1 つ取り上げ、それぞれについて、名称を⒜欄に、その値を⒝欄に記入せよ。なお、優れていると考えられる指標を①、②の欄に、課題を示すと考えられる指標を③の欄に記入し、⒝欄の値については、小数点第 3 位を四捨五入し、単位をカッコ内に明記すること。また、解答においては生産性に関する指標を少なくとも 1つ入れ、当該指標の計算においては「販売費及び一般管理費」の「その他」は含めない。

再現答案

①売上高総利益率:59.59%
②たな卸資産回転率:33.41回
③売上高販管費比率:45.09%

指標を3つ解答する問題ですが、「生産性に関する指標を少なくとも1つ」という指示。

過去問にはこれまで登場したことがない初出の内容。落ち着いて考えればそんなに難しくなく、与件文にもヒントがありました(自社、他社の従業員数が明記されている)。

が、本番中は全く思い付きませんでした。仕方ないので経営分析指標を3つ解答。いづれも間違いではないと思いますが、生産性に関する指標ではないので、この辺がどう評価されたかは不明です。

設問2

D 社が同業他社と比べて明らかに劣っている点を指摘し、その要因について財務指標から読み取れる問題を 80 字以内で述べよ。

再現答案

販管費が高い点を指摘。要因として人件費や広告費、減価償却費が高い点を記述。

明確に解答した内容を記憶していませんが、生産性に関する観点が抜け落ちていたので、あまり点数はもらえていないと思われます。

第2問(配点20点)

D社は、海外における中古自動車パーツの需要が旺盛であることから、大型の金属積層造形3Dプリンターを導入した自動車パーツの製造・販売を計画している。この事業においてD社は、海外で特に需要の高い駆動系の製品 A と製品 B に特化して製造・販売を行う予定であるが、それぞれの製品には次のような特徴がある。製品A は駆動系部品としては比較的大型で投入材料が多いものの、構造が単純で人手による研磨・仕上げにさほど手間がかからない。一方、製品 B は小型駆動系部品であり投入材料は少ないが、構造が複雑であるため人手による研磨・仕上げに時間がかかる。また、製品 A、製品 B ともに原材料はアルミニウムである。
 製品 A および製品 B に関するデータが次のように予測されているとき、以下の設問に答えよ。

設問1

D社では、労働時間が週 40 時間を超えないことや週休二日制などをモットーとしており、当該業務において年間最大直接作業時間は 3,600 時間とする予定である。このとき上記のデータにもとづいて利益を最大にするセールスミックスを計算し、その利益額を求め⒜欄に答えよ(単位:円)。また、⒝欄には計算過程を示すこと。

再現答案

(a) 2,840,000円
(b) (計算式を記述)
※製品1個当たりの限界利益を計算し、限界利益の大きい製品Aを作業時間の上限まで生産、という流れで計算しました。

とりあえず、問題文が長い。。

いったん他の設問も確認しますが、この問題が最も簡単そう、確実に解答が必要そうと判断し取り掛かりました。

たぶん間違っていないと、確実に10点確保で少し安心。

設問2

最近の国際情勢の不安定化によって原材料であるアルミニウム価格が高騰しているため、D 社では当面、アルミニウムに関して消費量の上限を年間 6,000 kg とすることにした。設問 1 の条件とこの条件のもとで、利益を最大にするセールスミックスを計算し、その利益額を求め⒜欄に答えよ(単位:円)。また、⒝欄には計算過程を示すこと。

再現答案

(a) (何書いたか忘れ)
(b) (計算式を記述)
2X + 4y <= 6,000
4x + 8y <= 7,200
x <= 1,400、y <= 200
利益額の計算

セールスミックスの問題で、変数が2つなので連立方程式で解く、という所まではすぐに思い付きました。

途中まではできていると思いますが、利益額の計算でケアレスミスに後で気づき慌てて直したので、最終的に何を解答したか忘れました。。

第3問(配点35点)

 D社は新規事業として、中古車の現金買取りを行い、それらに点検整備を施したうえで海外向けに販売する中古車販売事業について検討している。この事業では、取引先である現地販売店が中古車販売業務を行うため、当該事業のための追加的な販売スタッフなどは必要としない。
 D社が現地で需要の高い車種についてわが国での中古車買取価格の相場を調査したところ、諸経費を含めたそれらの取得原価は 1 台あたり平均 50 万円であった。それらの中古車は、現地販売店に聞き取り調査をしたところ、輸送コスト等を含めてD 社の追加的なコスト負担なしに 1 台あたり 60 万円(4,800 ドル、想定レート: 1 ドル=125 円)で現地販売店が買い取ると予測される。また、同業他社等の状況から中古車販売事業においては期首に中古車販売台数 1 か月分の在庫投資が必要であることもわかった。
 D社はこの事業において、初年度については月間 30 台の販売を計画している。
以下の設問に答えよ。

設問1

 D社は買い取った中古車の点検整備について、既存の廃車・事故車解体用工場に余裕があるため月間 30 台までは臨時整備工を雇い、自社で行うことができると考えている。こうした中、D社の近隣で営業している自動車整備会社から、D社による中古車買取価格の 2 %の料金で点検整備業務を請け負う旨の提案があった。点検整備を自社で行う場合の費用データは以下のとおりである。
 このとき D社は、中古車の買取価格がいくらまでなら点検整備を他社に業務委託
すべきか計算し⒜欄に答えよ(単位:円)。また、⒝欄には計算過程を示すこと。なお、本設問では在庫に関連する費用は考慮しないものとする。

再現答案

(a) 412,500円
(b) (計算式を記述)
変動費と固定費を分解し、自社点検した場合、D社に委託した場合で、利益額(P = x – VC -FC)が等しくなる買取価格xを計算。
x – 13,500 =x -0.02x -5,200
0.02x = 8,250
x = 412,500

さらに問題文が長い!4科目目でこの文章題はキツい!

ただ、過去問学習から設問1は簡単なはず、と信じて計算に取りかかる。予想通り基本的な問題で解答できました。

(b)欄はもう少し詳細に計算過程を記述したと思います。

設問2

 D社が海外向け中古車販売事業の将来性について調査していたところ、現地販売店より D社が販売を計画している中古車種が当地で人気があり、将来的にも十分な需要が見込めるとの連絡があった。こうした情報を受けて D社は、初年度においては月間 30 台の販売からスタートするが、 2 年目以降は 5 年間にわたって月間販売台数 50 台を維持する計画を立てた。
 この計画において D社は、月間 50 台の販売台数が既存工場の余裕キャパシティを超えることから、中古車販売事業 2 年目期首に稼働可能となる工場の拡張について検討を始めた。D社がこの拡張について情報を収集したところ、余裕キャパシティを超える 20 台の点検整備を行うためには、建物および付属設備について設備投資額 7,200 万円の投資が必要になることがわかった。また、これに加えて今後拡張される工場での点検整備のために、新たな整備工を正規雇用することにした。この結果、工場拡張によって増加する 20 台の中古車にかかる 1 台あたりの点検整備費用は、直接労務費が 10,000 円、間接費が 4,500 円(現金支出費用であり、工場拡張によって増加する減価償却費は含まない)になる。
 この工場拡張に関する投資案について、D 社はまず回収期間(年)を検討することにした。回収期間を求めるにあたって D 社は、中古車の買取りと販売は現金でなされ、平均仕入価格や販売価格は今後も一定であると仮定した。なお、設備投資額と在庫投資の増加額は新規の工場が稼働する 2 年目期首にまとめて支出されることとなっている。また、D社の全社的利益(課税所得)は今後も黒字であることが予測されており、税率は 30 %とする。
 上記の条件と下記の設備投資に関するデータにもとづいて、この投資案の年間キャッシュフロー(初期投資額は含まない)を計算し⒜欄に答えよ(単位:円)。また、⒝欄には計算過程を示すこと。さらに、⒞欄には⒜欄で求めた年間キャッシュフローを前提とした回収期間を計算し、記入せよ(単位:年)。なお、解答においては小数点第 3 位を四捨五入すること。

再現答案

(a) (白紙)
(b) (基本的なキャッシュフローの式と回収期間算出の式だけ記述)
(c) (たぶん白紙)

もっと問題文が長い!!

このあたりから残り時間との戦い。

読むだけで時間掛かるし解くのにも時間が掛かりそうなのでいったん飛ばし。

他の設問を終わらし、最後の5分で白紙を埋めるべく基本公式や計算過程を何かしら記述。

設問3

D社は、工場拡張に関する投資案について回収期間に加えて正味現在価値法によっても採否の検討を行うことにした。当該投資案の正味現在価値を計算するにあたり、当初 5 年間は月間 50 台を販売し、その後は既存工場の収益性に鑑みて、当該拡張分において年間 150 万円のキャッシュフローが継続的に発生するものとする。また、 5 年間の販売期間終了後には増加した在庫分がすべて取り崩される。この条件のもとで当該投資案の投資時点における正味現在価値を計算し⒜欄に答えよ(単位:円)。また、⒝欄には計算過程を示すこと。
 なお、毎期のキャッシュフロー(初期投資額は含まない)は期末に一括して発生するものと仮定し、割引率は 6 %で以下の係数を用いて計算すること。また、解答においては小数点以下を四捨五入すること。

再現答案

(a) (たぶん白紙)
(b) (NPVの式だけ記述)

そろそろ残り時間が15分くらいで焦りはじめます。

とりあえず、NPVの式だけ書いて飛ばす。

第4問(配点20点)

設問

D社が中古車販売事業を実行する際に考えられるリスクを財務的観点から 2 点指摘し、それらのマネジメントについて 100 字以内で助言せよ。

再現答案

(為替変動リスクと人件費の増について記述)

ここまでの経営分析と計算問題が壊滅的な状況なので確実に解答したいところ。

ですが、残り時間が10分ほど。かなりの殴り書きでとにかく記述。

財務的観点とマネジメントが設問の条件なので、為替変動リスク→為替予約・オプション取引でリスク軽減、人件費→外注・業務効率化、を記述したと思います。

2次試験再現答案(R4年・事例Ⅳ)まとめ

事例Ⅳはあまり再現できませんでしたが、とにかく時間がまったく足りない試験でした。

自信を持って解答した問題は半分以下、過去問であんなに練習したNPVとキャッシュフローはほぼ手を付けていない状態。

ですが、結果は「71点」。

簡単な問題と自分のできる問題を確実に解答したことと、最後まで諦めずに白紙を埋めたことが結果に表れたのかなと思います。

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