中小企業診断士の1次試験の科目「経営情報システム」は、IT関連知識が問われる科目です。IT系の専門用語が多く、専門の職(システムエンジニアなど)以外の方にとっては取っ付きにくく鬼門となる科目です。
私は、本業がシステムエンジニアなので得点源の科目なのですが、ITに疎い妻に試験問題を見てもらうと、日本語じゃない、何言ってるか分からん、という反応でした。私が経営法務を勉強している感覚に近いのかなと思います。
また、システムエンジニアなどIT知識に強く得点源としたい方にも、注意事項として、
私は、基本情報処理・ネットワークスペシャリスト・情報処理安全確保支援士の資格も取得していて、当時受講していたTACの講師からも「何も勉強しないで大丈夫、そのまま本番受けてこい」と言われ、ほぼ無勉強で試験に挑みました。
私は1次試験を3回受験しているのですが、最初の2回はほぼ無勉強(模試と過去問数回はやりました)で得点源とすることができていました。しかし、令和3年、まさかの60点以下という結果に、この年に1次試験を突破したのですが、得点源とするはずの経営情報システムが足を引っ張るというまさかの結果でした。
令和3年の試験から出題の傾向が若干変わり、油断していると痛い目を見るので注意が必要です。
- 平成30年:80点台
- 令和元年:70点台
- 令和2年:コロナ感染で受験できず
- 令和3年:56点
IT関連は、技術進歩がとても早く、1,2年のスパンでトレンド変化も激しいです。そのため試験問題の傾向も変わりやすいため、常に最新の情報で勉強をする必要があります。
経営情報システムとは
平均合格率:19.8%(直近6年)
2次試験との関連:事例Ⅰ/Ⅱ/Ⅲ
- 暗記科目
- 最近のトレンドや最新技術のケアが必要
IT系の企業以外の人には取っつき難い科目。
企業経営で必要な情報システムや情報セキュリティに関して出題されます。近年、情報システム・情報セキュリティは企業にとっても欠かせないものとなっており、2次試験でも関連した内容が出題されることがあります。
情報系は技術進歩やトレンドが早いので、できるだけ最新の情報を入手しておく必要があります。ITパスポート試験なども内容としては参考になります。
IT系企業やシステムエンジニアの人は、得意科目として得点源とする方も多くいますが、IT技術の進歩が早いのに合わせてか、出題傾向や難易度の波が荒い科目です。油断していると足元をすくわれるので、最新の傾向把握や過去問学習は必須です。
試験概要・出題範囲
項目 | 概要 |
---|---|
試験時間 | 60分 |
配点 | 100点満点 |
問題数 | 25問ほど |
試験日 | 2日目 2科目目 |
試験時間は60分、問題数が25問ほどなので、1問当たり約2分半ほどで解く必要があります。問題数が少ないので1問当たりの配点が高く、ケアレスミスや簡単な問題の取りこぼしが命取りです。
出題範囲は、大きく分けると2分野になります。
- 情報通信技術に関する基礎的知識
- 経営情報管理
1つめの「情報通信技術に関する基礎的知識」がハードウェア、データベースやネットワークなどの技術的な内容、2つめの経営情報管理が、マネジメント、セキュリティ、開発手法、統計、ガイドラインなどの内容です。
以下の令和6年度の1次試験案内に記載されている通りです。
科目合格率・難易度・勉強時間
過去6年間の「経営情報システム」の科目合格率は、年によって乱高下の激しい科目です。数年に一度地雷科目と化すことがあるので、頻出論点を中心に押さえ、最低限足切り回避を優先しましょう。
- 科目合格率に試験合格者は含まない
- 令和4年は、没問による得点調整(+4点)がありました
2次試験との関連
「経営情報システム」は、2次試験と関連があります。
ただ、他の科目と異なるのが、経営情報システムに関する知識を直接問われることはありません。
近年の企業経営に情報システムは不可欠なので、経営のIT化・自動化やインターネット・SNS活用などが事例企業の話題としてあがることが多くあります。
経営情報システムの知識を前提として、事例問題が作られているので、問題文を読んで内容が理解できれば大丈夫です。
効率的な勉強法
独学の方も予備校受講者も同じく、私も実践していた効率的な勉強法を紹介したいと思います。予備校を受講する方も、大まかな勉強のスケジュールは予備校の講義に従いますが、普段の勉強(特にアウトプット)は独学の場合と変わりません。
効率的な勉強法とは
「経営情報システム」は、IT関連の知識がない人にとっては、かなり難解な科目です。IT関連知識のある人も、一度どのような問題が出題されるか事前に確認しましょう。
IT知識のある方(過去問中心)
まずは過去問を解いてみましょう。あまり古いと出題傾向が変わっている可能性があるので3年以内のものが良いと思います。
自身のIT知識で通用するレベルの問題なのかをまず確認し、以降の学習計画を立てるようにしましょう。
60点以上取れるようであれば、過去問中心の学習で問題ないと思います。
(IT知識の少ない方)ITパスポートの受験
IT初心者の方にオススメなのが「ITパスポート」の資格勉強と言われています。
「ITパスポート」IT系の国家資格(情報処理技術者試験)の中でもエントリーレベルの試験で、年間20万人を越える受験者がいる人気の資格です。なぜ「ITパスポート」がオススメかというと、以下ITパスポートの試験範囲の通り、経営情報システムの出題範囲と重なる部分が多いのと、それ以外の科目(企業経営理論、経営法務など)とも内容が重なるためです。
- 企業と法務
- 経営戦略
- システム戦略
- 開発技術
- プロジェクトマネジメント
- サービスマネジメント
- 基礎理論
- コンピューターシステム
- 技術要素
IT関連の基礎的な知識と最新のITトレンドを学ぶことができ、中小企業診断士の資格取得に向けた導入として基礎的な知識も得ることができ一石二鳥です。
合格率も約50%ほどと高く、自信を付けるための試験としてはちょうどよいレベルと思います。
あまり深追いはしない
経営情報システムでは、データベースやネットワーク、プログラミング言語などの専門的な用語や内容が出題されます。
まずは全体を通して基本的な内容を押さえるようにし、過去問学習で不足している知識を補っていくのが効率的と思います。
専門知識を深追いすると勉強時間が足りなくなるので、頻出項目に絞って勉強するのが効果的です。特に、SQL文などは頻出項目なので必ず解答できるように準備する方が効率がよいです。
おすすめのテキスト・過去問題集
「経営法務」を独学で勉強する方に、おすすめのテキストと過去問題集を紹介したいと思います。
テキスト
TAC出版のスピードテキスト、通称「スピテキ」。多くの書店で扱われている人気の参考書です。
科目別になっており体系的に学ぶことができます。論点毎に過去の試験の出題傾向も分析されていて、メリハリを付けた学習ができます。
過去問題集
過去問題集は、「論点別」と「年度別」にまとまっているもの2種類があります。好みで選べば良いと思います。
ちなみに、過去問は中小企業診断協会のホームページからもダウンロードが可能です(問題だけ、解説はなし)。実際の試験問題用紙に書き込んで解きたいという方は、問題をダウンロード印刷し繰り返し利用が可能です。
私は、タブレットに10年分くらいダウンロードして持ち歩き、外に出たときにいつでも問題が解けるようにしていました。
「過去問完全マスター」
過去10年分の過去問が各科目で論点別に掲載されています。問題毎に出題頻度が記載されているので、苦手な論点や頻出論点を集中して効率よく解くことが可能です。
「最速合格のための第1次試験過去問題集(TAC出版)」
こちらはTAC出版の過去問。過去5年分が年度別に掲載されます。TACでデータリサーチによる正当率が記載されています。
「経営情報システム」の効率良い勉強法まとめ
中小企業診断士試験の「経営情報システム」は、近年の企業経営に欠かせないIT知識を問う科目です。
IT系の企業に勤めいていない人にとっては、かなり専門的な内容で取っつきにくいと思います。2次試験とは無関連なので、あまり深追いはせずに頻出論点に絞って集中して暗記し、最低限足切り(40点以下)回避し60点以上取れたらラッキーくらいがちょうどよい気がします。
IT系企業の方も、情報システムの進歩やトレンド変化が激しいため、試験の傾向が変わりやすい科目です。あまり過信しすぎず、一度過去問を解いて必要な知識レベルを事前に確認することをオススメします。
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