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[運営管理]工場の設備レイアウトと代表的な生産方式

目次

レイアウトの種類

固定式レイアウト

  • 生産対象を定位置に固定したレイアウト

大型製品、船舶などに適用される。

メリット設計変更に対応しやすい
大型の製品の移動を最小限にとどめることができる
デメリット作業者や工具の移動が多くなる

機能別レイアウト

  • 同種の機械設備を1か所に集めて配置するレイアウト

ジョブショップ型のレイアウトで、小ロット生産に用いられる。

メリット多品種少量生産に適する
設備の稼働率をあげやすい
製品ごとにレイアウトを変えなくて良い設計変更に対応しやすい
デメリット製品の移動経路が複雑になる
関連用語

ジョブショップ・スケジューリング
複数の製品を製造(ジョブ)する際に、ジョブにより作業工程と機械配置順序が異なる生産形態に対するスケジューリング

製品別レイアウト

  • 製品ごとに機械設備が直線的に配置されたレイアウト

フローショップ型のレイアウトで、大ロット生産に用いられる。

メリット少品種多量生産に適する
作業が単純化できる
作業速度にバラツキが少なく、工程管理、進捗管理が容易
仕掛在庫が減少し、生産期間を短縮しやすい
デメリット一部の機械の故障でライン全体が止まる
設計変更に対応し難い
熟練作業者の育成が困難
関連用語

フローショップ・スケジューリング
複数の製品を製造(ジョブ)する際に、全てのジョブで作業が類似で、作業工程と機械配置順序が同じ生産形態に対するスケジューリング

グループ別レイアウト

  • 製品、部品の類似性でグループ化されたレイアウト

セル生産レイアウトとも呼ばれる。機能別レイアウトとの違いは、機能別レイアウトが同種の機械をグループ化するのに対し、グループ別レイアウトでは類似の機械をグループ化する点。

メリット工程間の作業のバラツキを抑えることができ、仕掛品を減らすことができる
製品の設計変更、生産量の変更に柔軟に対応可能
多能工化が可能
デメリット多能工の育成が必要

SLP

  • SLPとは、システマチックレイアウトプランニングのことで、工場内の適切なレイアウトと流れを計画すること

リチャード・ミューサーにより提唱された工場のレイアウト計画手法。レイアウトを構成する各アクティビティを分析し、それぞれの関連性の強さにより合理的にレイアウトを設計する手法。

SLPは以下の手順で行われる。

  1. P-Q分析
  2. 物の流れ分析
  3. アクティビティ相互関係図表
  4. アクティビティ相互関係ダイヤグラム
  5. レイアウト案の作成
リチャード・ミューサー

アメリカ コンサルタント
1961年に工場のレイアウト設計手法SLPを提唱した。著書に「工場レイアウト技術」

P-Q分析

  • 何(Product:製品)をどれだけ(Quantity:生産量)生産するのかを明確にするもの

SLPにおける工場レイアウト計画で、まず最初に行うのが製品と生産量を正確に把握することである。P-Q分析では、横軸に製品の種類、縦軸に生産量をとり、生産量の大きい順に左から並べた図を作成する。

P-Q分析

P-Q分析の結果、生産形態とレイアウトは、以下の表のように生産量の多いグループが「製品別レイアウト」、中間が「グループ別レイアウト」、少ないグループが「機能別レイアウト」とするのが一般的。をとるのが一般的である。

生産形態レイアウト物の流れ分析
少品種多量生産製品別レイアウト単純工程分析
中品種中量生産グループ別レイアウト多品種工程分析
多品種少量生産機能別レイアウト
or
固定式レイアウト
フロムツーチャート

物の流れ分析

  • 製品を生産する工程で、最も効率よく物が移動できる経路、順序を決める

P-Q分析の結果から、各グループに応じて、単純工程分析、多品種工程分析、フロムツーチャートによる分析をおこなう。

単純工程分析加工(○)と検査(□)の2項目を表現した図表を作成し分析する。
小品種多量生産の場合、停滞や運搬が少ないため、加工と検査の2項目の分析で十分となる。
多品種工程分析類似の製品や部品をグループ化、工程経路図を作成して分析する。
フロムツーチャート流出流入図表とも呼ばれ、生産ラインの前工程と後工程の関係を定量化し分析する

アクティビティ相互関係図表

  • アクティビティの相互関係を分析するツール

生産に関わるアクティビティを近接させて配置するか、離して配置するかを評価する。アクティビティとは、建物・工場・機械・設備・倉庫・通路・出入口・採光など生産に必要な全てのもの(材料以外)。

アクティビティ相互関係ダイヤグラム

  • 物の流れ分析とアクティビティ相互関係図表の結果をもとに、アクティビティと工程を線形に展開したもの

アクティビティ間の近接性の強さを、線の太さや線の本数で表すのが一般的。

生産方式

ライン生産方式

  • 生産ライン上の作業ステーションに作業を割り付けておき、品物がラインを移動するにつれて加工が進んでいく方式

ライン生産方式をとるレイアウトは製品別レイアウトとなる。

いわゆる流れ作業のことで、以下の製品のような見込生産に用いることが大半である。

  • 需要が安定して多い製品
  • プロダクトライフサイクルの長い製品
  • 少品種多量生産の製品
メリット作業が単純なため単能工で作業が可能
作業が標準化され生産性が高い
工程管理が容易
デメリット製品の設計変更、生産量の変更に対応し難い
専用設備となるためレイアウト上の制約が多い
作業者の単能工化により人材育成が難しく、交代要員の確保が難しい
単純作業なため創意工夫は生まれにくく、精神的、肉体的疲労も多い
ライン生産方式で問われる用語

ラインバランシング
生産ラインの各作業ステーションに割り付ける作業量を均等化する方法

サイクルタイム
生産ラインに資材を投入する時間間隔、製品が算出される時間間隔
ピッチタイムとも呼ばれ、生産速度の逆数となる。
\(サイクルタイム=\frac{生産期間}{生産量}\times100\)

編成効率
作業編成の効率性を示す尺度
\(編成効率 = \ \frac{各工程の所要時間合計}{サイクルタイム\times 作業ステーション数}\times100\)

混合品種ライン
同一ラインで多品種を連続的に生産する方式

セル生産方式

  • 類似の製品(部品)グループ単位で異なる機械をまとめ機械グループを作り、その機械グループで工程を構成する生産方式

グループ化して生産することで、生産リードタイムの短縮、仕掛品の削減が可能。

メリット工程間の作業のバラツキを抑えることができ、仕掛品を減らすことができる
製品の設計変更、生産量の変更に柔軟に対応可能
多能工化が可能
デメリット多能工の育成が必要
ライン生産方式で問われる用語

U字ライン
U字型の形状をとる生産方式。
この形状をとることによって、1人の作業者に割り付ける作業の組み合わせが豊富になる。
作業者がU字の内側に配置され、1人で複数の工程を受け持ちレイアウトに必要なスペースを最小限にし作業効率を高める生産方式。

1人生産方式
1人の作業者が通常静止した状態の品物に対し作業を行う方式。
1人の作業者が検査を含めた全ての工程を受け持つ生産方式。

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