【企業経営】労働基準法の重要論点まとめ

当ページのリンクには広告が含まれています。

中小企業診断士試験の一次試験(企業経営理論)によく出る、労働基準法に関する用語をまとめてみました。(ここに記載した内容以外にも、出題論点はあるので参考までに。)

中小企業診断士 一次試験

毎年、数問出題される頻出論点です。

企業経営理論全般に言える話ですが、用語の暗記だけでは解答が難しく、より深い理解が求められます。また、問題文に抽象的な表現が多いので、ある程度の慣れが必要です。

過去問を繰り返し解き、問題文に慣れ、知識の定着と応用力を高めるようにしましょう。

中小企業診断士 二次試験

事例Ⅰで、組織や人事面の課題が扱われます。

ただし、労働基準法の細かい論点が問われることはありません。

目次

労働条件

労働基準法とは、労働者を保護し、会社にその基準を守ることを強制するもの

労働条件は、以下の形で決定される。

種類内容
労働契約 労働者と会社が取り交す契約
就業規則 会社が職場の規則や賃金、労働時間などの労働条件を定めたもの
労働協約 労働組合と会社が労働条件について結ぶ協定

優先順位:法令 > 労働協約 > 就業規則 > 労働契約

労働基準法では、各種書類の提出先や許可を得る先は、8割方が労働基準監督署長となる。

労働契約

労働契約とは、労働者と会社が取り交す契約のこと

契約期間は、原則3年以内であるが例外もある。

契約期間条件
最長3年原則
最長5年専門知識を有する労働者
満60歳以上の労働者
3年超有期事業
ダムや道路など完成に6年要するものなど

無期労働契約への転換

以下の場合、有期労働契約から無期労働契約への転換を行うことができる。

※無期労働契約の申し込みを会社は拒否することができない

無期労働契約内容
条件 有期労働契約が5年を超えて反復更新され、労働者が申込みをした場合
※6月以上の無契約期間があると通算期間がリセットされる
特例 以下の者について、事業主が都道府県労働局長の認定を受けた場合は除外される。
・高収入かつ、高度な専門知識を有する者
※無期転換申込権が発生しない期間の上限は10年
・定年後に継続雇用される者

有期労働契約:期間を定めて取り交わされた労働契約のこと。

就業規則

常時10人以上の労働者がいる場合、就業規則を作成し労働基準監督署長に届け出る必要がある

作成にあたり、労働者の過半数を代表する者の意見を聴く必要がある。

絶対的必要記載事項

必ず、記載しなければならない事項。

  • 始業、終業時刻、休憩時間、休日、休暇に関する事項
  • 賃金に関する事項
  • 退職に関する事項(退職金ではない)

相対的必要記載事項

定めがある場合、記載しなければならない事項。

  • 退職手当に関する事項
  • 臨時の賃金に関する事項

労働時間

労働時間は、労働者が使用者の指揮命令の下に置かれている時間のこと

法定労働時間と休憩、休日、休暇

労働時間の原則は以下となる。

項目内容
法定労働時間上限 8h/日
上限 40h/週(特例として44h/週)
※休憩時間を除く
※特例は常時労働者数が10人未満の会社
休憩時間45分(労働時間が6h超〜8h以内)
1h以上(労働時間が8h超
休日最低 1回/週、もしくは4週間で4日以上
年次有給休暇6ヶ月間勤務(8割以上出勤)した労働者に、10日の有給休暇を与えなくてはならない

例外として、変形労働時間制、フレックスタイム制、みなし労働時間制がある。

時間外労働・休日労働

労働基準法では原則として法定労働時間を超えた労働は禁止している。ただし、労使間で労働基準法36条に定められた協定を結び届け出れば可能となる。

フレックスタイム制

フレックスタイム制とは、始業・終業時刻を労働者自ら決められる制度。

用語内容
コアタイム労働者が必ず労働しなければならない時間帯
フレキシブルタイム労働者が選択により労働することができる時間帯
清算期間労働者が労働すべき時間を定める期間(1ヶ月以内)
※清算期間における総労働時間とは、所定労働時間のことでこれを越えた場合は時間外勤務となる。
スーパーフレックスタイム制コアタイムを無くしたフレックスタイム制度

みなし労働時間制

みなし労働時間制とは、実際の労働時間にかかわらず所定労働時間を働いたものとする制度。

みなし労働時間制内容
事業場外労働 事業場外で業務に従事し、労働時間の算出が困難な場合
→所定労働時間働いたものとみなす
専門業務型裁量労働制使用者が具体的な指示をすることが困難な業務(研究開発など)の場合
労使協定を結ぶ必要がある
企画業務型裁量労働制使用者が具体的な指示をしない業務(事業の運営や企画)の場合
知識、経験を有する労働者に限られる
労使委員会を設置し4/5以上の多数決議

適用除外

以下の者は、労働時間、休暇、休日に関する規定は適用しない。

  • 農水産従事者(天候に左右されコントロールがむずかしいため)
  • 管理監督者
  • 機密事務取扱者(秘書など管理職の活動と一体不可分なため)
  • 監視労働従事者(身体的負荷が少ないため)
  • 断続的労働従事者(身体的負荷が少ないため)

解雇

解雇する場合の制限は以下の通り。

解雇制限以下に該当する労働者は解雇できない
業務上の負傷により休業する期間とその後30日間
産前産後の休業期間とその後30日間
解雇予告以下のいずれかが必要
少なくとも30日前に解雇予告する
30日分以上の平均賃金を支払う

賃金

割増賃金

以下の場合は、割増賃金となる。

時間外労働法廷労働時間を越えた労働
休日労働法廷休日の労働
深夜労働深夜(22:00~5:00)の労働
種類割増賃金
時間外労働25%増以上
※月60時間超は50%増以上
休日労働35%増以上
深夜労働25%増以上
休日+時間外労働35%増以上
※休日に法定労働時間がないため時間外割増はない
深夜+時間外労働50%増以上(25 + 25)
深夜+休日労働60%増以上(25 + 35)

平均賃金

解雇予告手当や休業手当の算出に用いる。

平均賃金過去3ヶ月に支払われた賃金の総額 / 総日数

労働者派遣法

労働者派遣制度の仕組み

雇用関係と指揮命令系統が異なる。

  • 労働者派遣契約:派遣元企業~派遣先企業 で行う
  • 雇用関係:派遣元企業~派遣労働者 での関係となる
  • 指揮命令系統:派遣先企業~派遣労働者 での関係となる

労働者派遣の禁止業務

  • 港湾運送業務
  • 建設業務
  • 警備業務
  • 医業、歯科医業
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次