中小企業診断士試験の一次試験(運営管理)によく出る、販売流通業で用いられる情報システムとして、POSシステムとそれを実現するためのバーコードやRFID、商品コード体系、またそれらを支える情報システムについて、用語をまとめたいと思います。
各用語の意味やメリット・デメリット、算出式について問われることが多いです。特に数式は、数も多くないので出題されたら必ず得点できるようにしましょう。
商品コード(GTINなど)に関して、よく出題されます。横文字の羅列で私も覚えにるのに苦労しました。。。過去問を繰り返しチェックしましょう。
各用語や数式が直接問われることはないです。
ただし、このへんの用語を理解した前提で事例問題が問われます。ので、一次試験でしっかり知識を貯えておく必要があります。
POSシステム関連用語まとめ
POSシステム
商品単品での販売情報を収集、蓄積、管理し様々な用途に利用するもの
POSシステムのメリットは、レジ業務の効率化や、店内業務(値付けなど)の効率化など店舗業務の効率化が図られる点である。
また、POSシステムで得られるデータは、結果(売れたという情報)のみのため、なぜ売れたかを分析する必要がある。
例えば、他店のデータや顧客データなどを検証し、売れ筋商品の機会損失を防ぐ必要がある。
売れ筋管理
POSから得られる商品別の売上個数と売価をもとに、売上と利益の大きい商品の管理を行う
死に筋管理
売れ筋管理と同様に、売上と利益の小さい商品の管理を行う
コーザルデータ
価格以外で、売上にや来店客数に影響を与える外部的要因にこと
天候などの気象データ、祝祭日、季節行事など。
POSデータと組み合わせることで、晴れ・雨の日の商品別売り上げや来店客数の変化をデータ化し、発注量を決める判断材料とすることができる。
PI値
来店客数1,000人あたりの商品販売実績
[mathjax]$$金額PI=\frac{総販売金額}{販売期間来店客数}\times1,000$$
$$数量PI=\frac{総販売点数}{販売期間来店客数}\times1,000$$
プロノグラム
棚の収益が最大になる棚割りをシミュレーションすること
ショッピングバスケット分析
消費者が何と何を一緒に買うかを分析すること
併買分析、マーケットバスケット分析とも呼ばれ、併買度の高い商品を陳列やセット販売することで、客単価の増大を目指す。
例えば、紙おむつとビールが一緒に買われていた場合、家族のまとめ買いであることが分析される。
デシル分析
優良顧客を、購買金額の多い順に分類する方法
購買金額の多い顧客順に並べ、10等分(デシル)し上位デシルを優良顧客とし、優良顧客に対して戦略的にアプローチを図る。
閾値分析
優良顧客を、一定額以上の購買金額によって分類する方法
月5万円以上購買する顧客などを優良顧客とし、戦略的にアプローチを図る。
RFM分析
顧客をRecency(直近購買日)、Frequency(購買頻度)、Monetary(購買金額)で得点化し、ランク分けする方法
直近に来店し、高頻度で購買金額の高い顧客を優良顧客とし、戦略的にアプローチする。
バーコード関連用語まとめ
PLU(Price Look Up)
価格情報を含まないバーコードをスキャンし、ストアコントローラを参照し商品価格を認識する仕組み
NonPLU(Non Price Look Up)
価格情報を含むバーコードをスキャンし、価格情報を認識する仕組み
生鮮食品など短命な商品や定価販売の書籍、プロダクトライフサイクルの短い商品に用いられる。
JANコード
日本で発行されるバーコードで、国際的な共通商品コード
種類 | 概要 |
---|---|
13桁 | 標準タイプ GS1事業者コード(9桁)、商品アイテムコード(3桁)、チェックデジット(1桁)から成る。 |
8桁 | 短縮タイプ(小さい商品に使用) GS1事業者コード(6桁)、商品アイテムコード(1桁)、チェックデジット(1桁)から成る。 |
- 最初の2桁が国コードで、49、45が日本の国コード
- 商品の最小単位で設定される
ソースマーキング
商品の製造段階でJANコードをマークすること
あらかじめGS1事業者コード(メーカーコード)を取得する必要がある。
GS1事業者コード
メーカーコードのことで、国コード2桁を含む9桁から成る。※2001年以前は7桁
インストアマーキング
店内で独自のバーコードを印刷し商品にマークすること
GS1事業者コードを取得する必要がない。最初の2桁は「02 or 20〜29」を使用する決まりとなっている。また、インストアマーキングには、PLUタイプとNonPLUタイプ双方のバーコードが利用可能である。
ITF
ダンボールなどの集合包装用商品コードとして用いられる
14桁で構成され、最初の1桁は箱に入っている数を表すインジケータとなる。
商品識別コード
GLN(Global Location Number)
EDIで利用できる企業・事業所コードの国際標準
GS1コード(9桁)、ロケーションコード(3桁)、チェックデジット(1桁)の13桁から成り、企業・事業所・場所を識別の対象とする。
GTIN(Global Trade Item Number)
国際標準の商品識別コードの総称
商品単位を識別の対象とする。
その他販売流通情報システムの用語
RFID
非接触型のICタグ
- 情報の書き換え追加が可能
- 商品を積み重ねた状態で読み取り可能
商品のトレーサビリティに活用されることも多く、Suicaなどの鉄道系のICカードもRFIDの技術が使われている。
EDI
企業間電子取引のことで、企業間の電話やFAXで行なっていた受発注・見積り・決済情報などを、電子化して取引を行うこと。
種類 | 概要 |
---|---|
Web-EDI | Webブラウザを用いたEDI 利用者の個別仕様となり、社内システムとの連携に手作業が発生するなど非効率な面もある。 |
XML-EDI | XMLデータを用いたEDI 自由度が高すぎるため、標準化が必要となる。 |
CRM
顧客データを管理し、顧客との関係を重視する経営手法
様々な顧客情報を蓄積し、優良顧客の獲得や客単価増加を目的として、中長期的な顧客との関係を構築し、LTV(顧客生涯価値)の最大化を目指す。
CRM(Customer Relationship Management)
CRM(Customer Relationship Management)とは、顧客のロイヤリティを向上させる施策を行うマーケティング手法
ECR
製造業における「SCM」と同義で、ECRは食品業界で行われる手法を指す
SCM(Suprly Chain Management)
資材供給から生産、販売、流通において、販売情報、需要情報などをIT技術の活用で部門間または企業間でリアルタイムで共有し業務効率を高め顧客満足を実現する経営コンセプト
方式 | 概要 |
---|---|
CRP(連続補充方式) | POSデータの販売情報に基づき、消費者が購入した分だけ随時補充する方式 |
VMI(ベンダ主導在庫管理方式) | 資材や原料の供給業者(ベンダ)が、小売業者の在庫を管理する方式 |
CAO(自動発注) | POSデータの販売情報に基づき、適正在庫を保つよう自動的に発注するシステム |
QR
製造業における「SCM」と同義で、QRはアパレル業界で行われる手法を指す
延期の原理に基づき、POSデータの分析を行い、できるだけ実需に近い時点まで生産を先延ばしにする手法。
延期の原理 | 実需に近い時期に生産を開始する |
---|---|
投機の原理 | 見込みによる大量生産をする |
SCMラベル
EDIとバーコードを用いた納品ラベル
検品作業の効率化を目的とし、箱を開けなくても中身を確認することができる。
ASN
出荷先に対し、出荷前に電子データで送る出荷明細
検品作業の効率化が図られる。
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