中小企業診断士試験の一次試験(運営管理)に頻出の物流戦略の関連用語をまとめてみました。(ここに記載した内容以外にも、出題論点はあるので過去問等を必ず確認しましょう。)
一括物流システムやロジスティクス関連がよく出題され、毎年5問程度は出題される頻出論点です。どのような出題がされるかは、過去問をチェックしましょう。
各用語が直接問われることはないです。
ただし、このへんの用語を理解した前提で事例問題が問われます。ので、一次試験でしっかり知識を貯えておく必要があります。
物流戦略
一括物流システム
バラバラに管理されていた物流を、一括物流センターと情報システムで運営する共同物流システムのこと
一括物流には以下のような機能がある。
機能 | 内容 |
---|---|
専用センター | 小売側の専用システムを導入 |
一括発注・納品・定時定配・検品代行 | 小売側の業務を軽減する |
車両台数削減 | 物量コストの削減 |
納品率向上 | 機会損失の削減 |
カテゴリー納品 | 商品を中分類程度に仕分けして納品 |
売場直結納品 | 陳列作業の効率化 |
一括物流センターにはDC型(在庫型)センター、TC型(通過型)センター、PC型(加工型)センターがあり、それぞれ特徴が異なる。
一括物流センター | 特徴 |
---|---|
DC型 | 物流センター内に卸業者ごとの在庫を共同で保管 広大な保管スペースを有する リードタイムが短い カテゴリ納品に対応しやすい |
TC型 | 在庫を持たず店舗別の仕分けや流通加工を行う物流センター リードタイムがDC型に比べ長い カテゴリー納品に対応しにくい |
PC型 | 流通加工を中心に行う物流 センターDC型と併設されることも多い |
DC型(在庫型)センター
在庫を抱える物流センター
物流センター内に卸業者ごとの在庫を共同で保管する。
そのため、TC型と比べリードタイムが短い(メーカー → DC → 店舗)。また、センター内に在庫を保管するため、カテゴリー納品に対応しやすい。
例としては、メーカーの在庫を保管する倉庫など。
TC型(通過型)センター
在庫を持たず店舗別の仕分けや流通加工を行う物流センター
物流センターには、ベンダー(卸売業)仕分型とセンター仕分型の2種類がある。
ベンダー仕分型 | 卸業者が店舗ごとに仕分けをしセンターに納品する。 |
---|---|
センター仕分型 | センターで店舗ごとに仕分けと検品を行う。 |
DC型と比べリードタイムが長い(メーカー → ベンダー → DC → 店舗)。また、DC型と比べ、カテゴリー納品に対応しにくい。特に、ベンダー仕分型は仕分けが複数回になるため困難となる。
例としては、コンビニチェーンの物流センター。
クロスドッキング
複数の卸業者からの物流センターへの納品を、迅速に仕分け、荷合わせ、出荷する仕組み
TC型センターで用いられることが多い。リードタイムの短縮に有効な手段となる。
共同輸配送
複数の業者でまとめて共同で輸配送する方法
複数の取引先からの納品をまとめる納品代行や、コンビニなどが採用しているエリアごとに特定の卸売業者が商品を集約して配送する窓口問屋方式などがある。
巡回集荷
同じ車両で複数の卸業者を回り集荷する方法
牧場を巡回して牛乳を集荷する方法と似ているため、ミルクラン方式とも呼ばれる。
ユニットロード
輸送貨物をパレットやコンテナなど、ユニットにまとめ配送する方法
ユニットにまとめることで、輸送や保管を標準化することができ近代的物流システムの活用が広がり、荷役・配送効率が向上する。
また、多くの品物を1枚のパレットの上に同じ大きさの荷姿にまとめることをパレタイジングという。
メリット | デメリット |
---|---|
一度にフォークリフトで運べ荷物の積み降ろし時間が短縮できる 人員削減が可能 荷姿が同じになるため作業の標準化がしやすい | パレット自体の大きさ重さにより、輸送や保管に制限が出る場合がある パレットの回収や管理に手間がかかる |
物流の重要用語
包装
包装は、商業包装と工業包装に分かれる。
包装種別 | 分類 | 内容 |
---|---|---|
商業包装 | 個装 | 商品一つ一つの包装 |
工業包装 | 内装 | 個装をまとめた梱包 |
外装 | 内装をまとめた梱包(段ボール箱) |
固定ロケーション
棚と商品を一対一で紐付け保管する方法
同じ商品が多い場合に有効だが、商品がなくても棚の場所は確保されるため、スペース効率は悪い。
フリーロケーション
棚と商品の紐付けがない保管方法
システムが機械的に場所を決める。自動倉庫システムが前提となる。
トータルピッキング
出荷する商品を一度に取り出した後で、出荷先別に仕分けをする方法
種まき方式と呼ばれ、少品種多量の注文に向く。
一度にピッキングするため作業動線は短くなるが、仕分け作業が難しくなるため自動仕分け機などの導入による効率化が必要。
シングルピッキング
出荷先や注文伝票別に、商品を取り出す方法
摘み取り方式と呼ばれ、多品種少量や出荷先が多い場合に向く。
作業者がピッキングする場合は作業動線は長くなるため、商品の自動搬出システムの導入が好ましい。
一貫パレチゼーション
荷物を出発地から納品地まで同じパレットに載せ輸送、保管する方法
輸送中の荷物が傷つきにくい。パレットが最終地点まで運ばれるため、その回収が困難となる。そのため、パレットを複数の荷主で協同利用するパレットプールシステムが用いられる。
物流ABC
活動ごとにコストを集計し原価計算する手法
ディカップリングポイント
見込生産と受注生産の分岐点
多くの製造業では、見込生産と受注生産の中間的な生産(部品は見込生産、組立と出荷は受注生産)を行っている。
生産工程にある製品に顧客のオーダーを引き当て、製品の仕様の選択または変更をする生産方式
リバース・ロジスティクス
欠陥製品の回収や、容器包装の回収や再利用、廃棄物の抑制や処理に関する技術、活動のこと
ロジスティクス
原材料調達から生産・販売に至るまでの物流、またはそれを管理する過程のこと。もともとは、兵站(軍の物資配送、兵員展開を含む、軍隊の諸活動)という軍事用語からきている。
グリーンロジスティクス
地球環境に配慮されたロジスティクスのこと
CO2削減や排ガス規制、騒音規制、リサイクル可能な資源など。
モーダルシフト
貨物輸送をトラックから鉄道、海運への転換を推進すること
長距離一括大量輸送により、CO2排出量の削減や道路混雑解消などの効率化が目的となる。
ブルウィップ効果
サプライチェーンの上流ではわずかな需要量の変動の認識でも、末端では需要変動が過剰に認識され過剰な在庫を生んでしまう現象
ブルウィップとは、牛追いの鞭のこと。鞭を振ると手元ではわずかな振りも先端は大きく振れることから由来している。
ハブ・アンド・スポーク・システム
ネットワークの中心にハブとなる拠点を設けることで効率化が図れるという考え
サードパーティロジスティクス(3PL)
物流戦略の立案や実行をする、高度な物流サービスのアウトソーシング
単なる運送事業者ではなく、物流システム全体の提案・構築を荷主企業に変わって行うのが特徴。
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