【企業経営】アンゾフの成長ベクトルとPPM 要点まとめ

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中小企業診断士試験の一次試験(企業経営理論)によく出る、アンゾフの成長ベクトルとPPMに関する用語をまとめてみました。(ここに記載した内容以外にも、出題論点はあるので参考までに。)

中小企業診断士 一次試験

毎年、数問出題される頻出論点です。

企業経営理論全般に言える話ですが、用語の暗記だけでは解答が難しく、より深い理解が求められます。また、問題文に抽象的な表現が多いので、ある程度の慣れが必要です。

過去問を繰り返し解き、問題文に慣れ、知識の定着と応用力を高めるようにしましょう。

中小企業診断士 二次試験

事例Ⅰ、事例Ⅱでドメインや経営戦略が問われます。

各用語が直接問われることはないですが、事例企業の経営戦略上の助言をする上で理解しておく必要があります。

目次

アンゾフの成長ベクトル

企業の事業ドメインについて、製品と市場の二つの軸で既存か新規で、「市場浸透」「新市場開拓」「新製品開拓」「多角化」の4つの領域に分け、それぞれの方向性を示した戦略モデル。

製品(技術)
既存新規
市場既存市場浸透新製品開拓
新規新市場多角化

市場浸透戦略

既存市場に既存製品を投入する戦略

宣伝広告により市場シェア拡大を目指す。

新市場開拓戦略

新市場に既存製品を投入する戦略

新製品開拓戦略

既存市場に新規製品を投入する戦略

携帯電話、スマホのモデルチェンジ、自動車のモデルチェンジなど。

多角化戦略

新規市場に新規製品を投入する戦略

イゴール・アンゾフ(1918〜2002)

ロシア生まれのアメリカの経営学者(カーネギー工科大学)

軍事用語であった「戦略」という言葉を初めて経営用語として使ったと言われている。

多角化戦略

無関連多角化

事業間の製品や市場の関連が低い多角化戦略のこと

企業のリスク分散につながる。

関連多角化

事業間で経営資源を共有しシナジーを得ること前提にした多角化

無関連多角化と比較し、既存の経営資源を活かすことができるのでリスクが低いとされている。

多角化を行う理由

多角化戦略を行う目的は以下のような理由による。

経営資源の有効活用

空いてる土地や人的資源などのスラック(余裕資源)を多角化戦略により有効活用することができる。

リスク分散

多角化戦略により、ある事業の業績悪化を他の事業でカバーできるようになる(ポートフォリオ効果)。事業間の関連性が低い無関連多角化が前提となる。

シナジー効果

多角化戦略により、既存事業とのシナジー効果を高めることができる。既存事業と共通性の高い関連多角化が前提となる。

主力事業の需要減

主力の事業において需要が停滞した場合、新たな事業分野へ展開する必要がある。

PPM(Product Portfolio Management)

プロダクトポートフォリオマネージメントとは、複数の事業を展開する場合の、資源配分を決定する際のモデル

ボストン・コンサルティング・グループにより提唱された戦略策定ツール。市場成長率と相対的市場占有率で4つのグループに分け、それぞれの取るべき戦略を定義している。



市場
成長率

花形問題児
金のなる木負け犬
高 ← 相対的市場占有率 → 低

相対的市場占有率とは、「自社シェア÷自社以外の最大競争相手シェア」で、同業他社と比べどれだけ多くの売り上げがあるかを示したもの。

PPMの4つのグループと戦略

問題児

  • 投資先 or 撤退
  • 資金流出が多く流入が少ないため、キャッシュフローはマイナス
  • 投資を行い相対的市場占有率を高め花形を目指す。ただし、全ての問題児が花形に移行するわけではない。

花形

  • 投資先
  • 資金流入も流出も多くキャッシュフローの源ではない。
  • 成熟期になると金のなる木に移行するので、継続的な投資を行い相対的市場占有率を維持する必要がある。

金のなる木

  • 花形、問題児、研究開発への投資元
  • 資金流入が多く流出が少なく、キャッシュフローの源。

負け犬

  • 撤退
  • 資金流入も流出も少ない。

PPMの問題点

PPMの問題点として以下があげられる。

  • 企業の経営・財務資源のみしか考えておらず、人的・情報資源が考慮されない。
  • 各事業間のシナジーが考慮されない。
  • 新規事業への展開には向かない。
  • 負け犬に区分けされた事業のモチベーションが低下する。
  • 金のなる木への投資が考慮されなく、その衰退を早める恐れがある。

PPMの考え方

PPMの考えの前提となっているものが、製品ライフサイクルと経験曲線がある。

製品ライフサイクル

製品ライフサイクル(PLC)とは、製品が市場に投入されてから廃棄されるまでのこと

導入期→成長期→成熟期→衰退期 の流れ。

PLC概要
導入期新製品を初めて市場に投入した時期
広告費用が多く利益は少ない
生産量が少なくコスト高
成長期製品が認知され市場に浸透する時期
広告費用は多いが売上が上昇傾向
生産量の増加にともないコストは低下
成熟期製品が浸透し需要が落ち着く時期
広告費用が落ち着き利益が最大化する
大量生産でコストは低い
衰退期製品の需要が減少していく時期
売上が減少
コストは低いまま
PLC売上コスト顧客市場
導入期低い高い少ない小さい
成長期増加低下増加拡大
成熟期高い
※利益最大
低い多い
※安定
大きい
衰退期減少低い減少縮小

経験曲線効果

製品の生産量増加に従い、製品1つあたりのコストが低下すること

経験を重ねることで、作業者の習熟や生産工程の最適化で生産コストは一定の割合で下がると考えられる。

市場占有率が高いほど、生産量が多く経験曲線効果が大きくなる。

ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)

アメリカに本社を置く経営コンサルティング会社。

世界48カ国に拠点を置き、世界上位500企業のうちの3分の2がBCGのクライアントと言われている。平均年収は1,500万円を超え上位役職では年収数億円とも。

イスラエル国首相のベンヤミン・ネタニヤフ、駐日アメリカ大使のウィリアム・F・ハガティもBCGの出身。

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