【企業経営】ポーターの競争戦略で、覚えるべき試験に頻出な重要事項

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中小企業診断士試験の一次試験(企業経営理論)によく出る、ポーターの競争戦略として、ポーターの5フォースモデル、3つの基本戦略、競争地位戦略に関する頻出用語をまとめてみました。(ここに記載した内容以外にも、出題論点はあるので参考までに。)

中小企業診断士 一次試験

毎年、数問出題される頻出論点です。

企業経営理論全般に言える話ですが、用語の暗記だけでは解答が難しく、より深い理解が求められます。また、問題文に抽象的な表現が多いので、ある程度の慣れが必要です。

過去問を繰り返し解き、問題文に慣れ、知識の定着と応用力を高めるようにしましょう。

中小企業診断士 二次試験

事例Ⅰ、事例Ⅱでドメインや経営戦略が問われます。

ここの内容は、ビジネスにおける基本戦略ですが、中小企業診断士の特に二次試験の事例企業は「中小企業」が対象です。大企業が前提の戦略も多くあるので、事例問題を解く際は注意が必要です。

各用語が直接問われることはないですが、事例企業の経営戦略上の助言をする上で、基本的な用語はしっかりと理解しておく必要があります。

目次

ポーターの5フォースモデル

5つの競争要因から収益性を分析するモデル。

内的要因外的要因
供給業者の交渉力
買い手の交渉力
既存業者間の競争
新規参入業者
代替品の有無

供給業者の交渉力

ある業界へ製品の部品や原材料を供給する業者である供給業者が寡占、独占的技術を持つ場合、その供給業者に依存することで、業界にとっては収益性を悪化させる脅威となる。

例としては、PC業界では、インテル、マイクロソフトなどのPCのコアとなるCPUやOSの技術、供給で圧倒的な力を持つため、PC本体の製造メーカーはそれに依存せざるを得ないことなどがあげられる。

買い手の交渉力

ある業界の製品を販売する業者が、大規模な流通網を持ち購買力が非常に大きい場合は、業界にとって収益性を悪化させる脅威となる。

例えば、セブンイレブンなど大手コンビニチェーンは、大規模な流通網を持つため、買い手側の交渉力は強大となりメーカなど販売側はそれに依存せざるを得ない。

既存業者間の競争

ある業界内の既存業者間の競争が激しいと、敵対関係の激化、価格競争となり収益性を悪化させる恐れがある。

以下のような場合に競争が激しくなる可能性が高い。

  • 業界内で同業者が多い
  • 規模が同じくらいの企業が多い
  • 市場の成長速度が緩やか
  • 在庫コストが高い
  • 製品の差別化が難しくコモディティ化している
  • 撤退障壁が高い

新規参入業者

参入障壁が低いと、業界内で同業者が多くなり収益性を悪化させる脅威となる。

代替品の有無

同機能の製品の登場により、既存製品の価値が下がり収益性を悪化させる脅威となる。

例えば、

  • CDやMDなどの録音媒体は、インターネットダウンロード配信の普及により急激に収益性が悪化している。
  • 本などの紙媒体は、電子書籍の普及により収益性が悪化している。
  • AIや自動化技術の発達に伴い、これまでの多くの人が行なっている業務が、コンピュータに取って代わられると言われている。

規模の経済

企業の規模や生産量の増大に従い、製品やサービスの1個当たりの生産コストが逓減していくこと

また、同じ生産コスト当たりで生産量が増えることも、同じ規模の経済が働いていることになる。

規模の経済が働く業界では、新規参入企業は初期から大量生産をするための初期コストが掛かるため大きなリスクとなる。

規模の経済が働きやすい業界は、製造業やソフトウェア業などの固定費(設備や土地など)や研究開発費の割合の大きい業界で、生産量が増えるほど1個当たりの固定費の割合が下がり全体でコストダウンが可能になる。

関連用語

経験曲線効果

製品の生産量が増えるに従い、経験による作業者の熟練、工程や設備の改善により製品1個当たりの生産コストが一定の割合で減少すること。

ポーターの3つの基本戦略

中小企業が取るべき戦略は、差別化戦略と集中戦略です。大企業は全ての顧客の要望に応えるようなサービスが求められますが、中小企業は限られた資源を特定のターゲットに集中、差別化を図ることが基本となる。

差別化戦略

競争企業に対し、価格以外の優位性・独自性を打ち出す戦略

例えば

  • 製品の品質、性能、デザイン
  • アフターサービスな充実、店舗数
  • 広告、宣伝による知名度の向上、企業イメージの向上

コストリーダーシップ戦略

競争企業よりも低いコストで生産する戦略

規模の経済や経験曲線効果を得てより低コストで生産を行う。低価格で販売するわけではない。

集中戦略

市場を細分化し、特定のターゲットに対し優位性を得る戦略

近年、市場の細分化が進んでいるため、特定のターゲットに経営資源を集中させ、差別化を図ることが重要とされる。

競争地位戦略

市場占有率に基づき4つの競争地位に分類し、それぞれに分類された企業が取るべき戦略を示したもの。

リーダー

業界内で最大市場シェアの企業

リーダーが取るべき基本戦略として、以下の4つがあげられる。

  • 周辺需要拡大
  • 同質化
  • 非価格対応
  • 最適シェアの維持
戦略概要
周辺需要拡大その業界の市場、ターゲット層を拡大する戦略。周辺需要が拡大し市場が大きくなると、市場シェアの最も高いリーダー企業が最も儲かる。
同質化チャレンジャー企業の差別化戦略に対し、模倣・追随し差別化を無効にする戦略。
非価格対応低価格競争が起きると、最も利益が減少するのが市場シェアの高いリーダー企業となるため、リーダー企業は価格競争を極力行わない。
最適シェアの維持市場シェアが高くなりすぎると、独占禁止法に抵触する恐れがあり、また、コストと利益のバランスを考えた市場シェアの維持が必要となる。

チャレンジャー

リーダーに挑戦し市場シェアの拡大を狙う企業

チャレンジャーの取るべき基本戦略として、リーダとの差別化ぎある。

戦略概要
リーダとの差別化リーダー企業が取れないような思い切った高価格・低価格による差別化や独自性のある製品の開発など。

フォロワー

リーダーに挑戦せず、現状維持をする企業

フォロワーの取るべき基本戦略として、リーダーに追随がある。

戦略概要
リーダーに追随あえて勝負はせずにマーケットの拡大で利益を得る。

ニッチャー

リーダー企業が参入していない分野に資源を集中させる企業

ニッチャーの取るべき基本戦略として、ミニリーダー政策がある。

戦略概要
ミニリーダー政策ある特定の市場分野でのリーダー戦略を行う。
市場を拡大しすぎると、経営資源豊富な大手企業に参入され収益性をが急激に悪化する。
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