中小企業診断士試験の1次試験(財務会計)に頻出の、投資の経済的効果に関する用語と数式をまとめてみました。(ここに記載した内容以外にも、出題論点はあるので参考までに。)
毎年、数問出題される頻出論点です。
計算問題として出題されるので、式と意味は暗記が必須です。過去問や問題集をを繰り返し解き、知識の定着と応用力を高めるようにしましょう。
事例Ⅳで、財務会計の課題が扱われます。
正味CFとDCF法は、計算問題として頻出です。DCF法は計算の結果どの投資案を選択するべきか、までを解答できるようにする必要があります。
現在価値の求め方
将来のキャッシュフローがn年後に発生する場合の現在価値は、以下の式で求めることができる。
$$現在価値=\frac{CF}{(1+r)^n}$$
複利原価係数
将来のある時点のキャッシュフローから現在価値に割引くための係数
$$現在価値=CF_1\times\frac{1}{1+r}+CF_2\times\frac{1}{(1+r)^2}+・・+CF_n\times\frac{1}{(1+r)^n}$$
$$n年目の複利原価係数=\frac{1}{(1+r)^n}$$
年金原価係数
毎期均等のキャッシュフローの場合、現在価値に割引くための係数
$$現在価値=CF\times(\frac{1}{1+r}+\frac{1}{(1+r)^2}+・・+\frac{1}{(1+r)^n})$$
$$年金原価係数=\frac{1}{1+r}+\frac{1}{(1+r)^2}+・・+\frac{1}{(1+r)^n}$$
正味CF(経済的効果)
正味キャッシュフローとは、投資により将来的に得られる経済的効果
税引前キャッシュフロー
$$正味CF = 収入CIF – 支出COF$$
税引後キャッシュフロー
税金を考慮した収入(手取り)と、損金分の減税額の足し戻し(タックスシールド)を考慮したキャッシュフロー
$$正味CF = 営業利益 × (1 – 税率) + 減価償却費$$
or
$$正味CF = (CIF – CFO) × (1 – 税率) + 減価償却費 × 税率$$
減価償却費が損金として扱われ、その分税金が減るため、キャッシュフローとしては減価償却費 × 税率 増えることになる。
DCF法
将来のキャッシュフローから現在価値に割引き、投資機会を評価する方法
実務で多く用いられているのは、NPV法とPP法といわれている。
正味現在価値法(NPV)
- 将来キャッシュフローから現在価値の合計を算出
- 合計額から設備投資額を引き、NPVの値がプラスの場合、その投資案を採用する
- 投資案が複数ある場合は、NPVの値が最も大きい投資案を採用する
$$NPV=CF_1\times\frac{1}{1+r}+CF_2\times\frac{1}{(1+r)^2}+・・+CF_n\times\frac{1}{(1+r)^n}-設備投資額$$
内部収益率法(IRR)
現在価値がゼロとなる割引率のこと
$$0=CF_1\times\frac{1}{1+r}+CF_2\times\frac{1}{(1+r)^2}+・・+CF_n\times\frac{1}{(1+r)^n}-設備投資額$$
上記の式を解くことで「内部収益率:r」が求まる。
収益性指数法(PI)
$$収益性指数=\frac{キャッシュフローの現在価値の合計}{投資額の現在価値}$$
- 収益性指数 > 1 :投資案は有利
- 収益性指数 < 1 :投資案は不利
回収期間法(PP)
投資額の回収期間が期待する期間であるかを評価する
$$回収期間=\frac{初期投資額}{キャッシュフロー(均等額)}$$
複数案ある場合は、回収期間が最も短い案を選択する。
まとめ
正味キャッシュフローやNPVなどDCF法の計算は、1次試験・2次試験ともに頻出です。
計算式の暗記は必須で、繰り返し過去問や演習問題を解き応用力を高めましょう。
また、2次試験では計算に電卓の使用が不可欠です。問題の指示に従い、四捨五入や回答する単位(百万円、千円、円など)に気を付ける必要があります。
電卓使い方は以下の記事でも紹介しているので参考にしてください。
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