中小企業診断士試験の一次試験(企業経営理論)によく出る、ドメインと競争優位性に関する用語をまとめてみました。(ここに記載した内容以外にも、出題論点はあるので参考までに。)
毎年、数問出題される頻出論点です。
企業経営理論全般に言える話ですが、用語の暗記だけでは解答が難しく、より深い理解が求められます。また、問題文に抽象的な表現が多いので、ある程度の慣れが必要です。
過去問を繰り返し解き、問題文に慣れ、知識の定着と応用力を高めるようにしましょう。
事例Ⅰ、事例Ⅱでドメインや経営戦略が問われます。
各用語が直接問われることはないですが、事例企業の経営戦略上の助言をする上で、ドメインや競争優位性などをしっかりと理解しておく必要があります。
ドメインとは
ドメインとは、企業が行う事業のあるべき姿、方針を明示したもの。ドメインの設定が狭いと、顧客ニーズに合わなくなる。また、ドメインの設定が広いと、経営資源の分散、競争に巻き込まれることになる。
物理的ドメイン
モノ(製品やサービス)を中心にドメインを定義する
事業ドメインが明確になるが、定義された製品やサービス以外のモノを作りづらく、事業展開の柔軟性が低くなるという特徴がある。
機能的ドメイン
顧客のニーズを中心にドメインを定義する
事業の拡大が容易、だがターゲットや製品が不明確となることがある。
企業ドメイン
全社レベルの方針やあるべき姿を定義したもの
事業の範囲、事業ポートフォリオを規定、企業のアイデンティティを規定する。事業ドメインの集合が企業ドメインとなる。
事業ドメイン
事業レベルでの方針を定義したもの
具体的に、どのようなターゲットにどのようなニーズを満たしていくかを規定する。単一事業の企業は、事業ドメイン=企業ドメイン となる。
ドメインを定義するフレームワークとして、1980年にデレク・エーベルが提唱したモデル
競争優位性
競争優位性の源となるもの。
コアコンピタンス
他社にマネできない、顧客に利益をもたらす、自社の技術、スキル、ノウハウ
模倣困難性
競合他社がマネすることが困難であること。
模倣困難性が高いと競争優位性が高い。資源の希少性やノウハウなどの情報資源があげられる。物理的な経営資源と比べ、ノウハウや専門スキルなどの情報的経営資源は模倣困難性が高い。
企業の競争優位性を経営資源から分析する手法
ポーターの5フォースモデル
5つの競争要因から収益性を分析するモデル。
要因 | 競争要因 |
---|---|
内的要因 | 供給業者の交渉力 |
買い手の交渉力 | |
既存業者間の敵対関係 | |
外的要因 | 新規参入業者の有無 |
代替品の有無 |
供給業者の交渉力
供給業者が寡占、独占的技術を持つ場合、その供給業者に依存することで、業界にとっては収益性を悪化させる脅威となる
例えば、
PC業界では、インテル、マイクロソフトなどのPCのコアとなるCPUやOSの技術・供給で圧倒的な力を持つため、PC本体の製造メーカーはそれに依存せざるを得ない。
音楽プレイヤーでは、Apple、Sonyなどが圧倒的なブランド力を誇るため、それらに従属せざるを得ない。
買い手の交渉力
買い手(ある業界の製品を販売する顧客)が、大規模な流通網を持ち購買力が非常に大きい場合は、業界にとって収益性を悪化させる脅威となる
例えば、
セブンイレブンなど大手コンビニチェーンは大規模な流通網を持つため、買い手側の交渉力は強大となりメーカなど販売側はそれに依存せざるを得ない。
既存業者間の敵対関係
価格競争となり収益性を悪化させる原因となる
以下の場合、価格競争となり収益性を悪化させる原因となりやすい。
- 業界内で同業者が多い
- 規模が同じくらいの企業が多い
- 市場の成長速度が緩やか
- 在庫コストが高い
- 製品の差別化が難しくコモディティ化している
- 撤退障壁が高い
新規参入業者の有無
参入障壁が低いと、業界内で同業者が多くなり収益性を悪化させる脅威となる
代替品の有無
同機能の製品の登場により、既存製品の価値が下がり収益性を悪化させる脅威となる
例えば、
CDやMDなどの媒体は、インターネットダウンロード配信の普及により急激に収益性が悪化した。
本などの紙媒体は、電子書籍化の普及により収益性が悪化している。
AIや自動化技術の発達に伴い、これまでの多くの人が行なっている業務が、コンピュータに取って代わられると言われている。
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