中小企業診断士試験の一次試験(運営管理)によく出る、マーチャンダイジング・販売計画に関する用語をまとめてみました。(ここに記載した内容以外にも、出題論点はあるので参考までに。)
毎年、数問出題される頻出論点。計算問題が出ることが多く、GMROI、交差比率などの公式の暗記が必須。
事例Ⅱ「マーケティング・流通」の論点として出てきます。
ISMなど販売促進など売上の向上に関する事例が出題されるので、一次試験でしっかり知識を貯えておく必要があります。
マーチャンダイジングとは
消費者のニーズに合わせ、消費者価値を増大させる商品、サービスの組み合わせを提案するための計画、実行、管理のこと
流通業(小売業)における中心的なテーマであり、商品の品揃え、陳列、値付け、販売促進の活動を行い(商品管理・商品計画・調達・販売促進)、消費者価値を増大させていく。
商品予算計画
マーチャンダイジング活動のおおよその計画のことで、売上高予算、在庫高予算、値入高予算、仕入高予算などがある。
GMROI(商品投下資本粗利益率)
商品投下資本の効率を測定し、在庫投資の回収を管理する指標
$$GMROI(\%)=\frac{売上高総利益(粗利益)}{平均在庫高(原価)}\times100$$
平均在庫高 = (期首在庫高 + 期末在庫高) ÷ 2
平均在庫高 = 各月期末在庫高の総計 ÷ 12
交差比率
在庫管理を売価基準で考えるもの
$$交差比率(\%)=\frac{売上高総利益(粗利益)}{平均在庫高(売価)}\times100$$
商品回転率
一定の期間に商品が何回転したかを示す指標
$$\eqalign{売価法:商品回転率(回)=\frac{売上高}{平均在庫高(売価)}\times100\\
原価法:商品回転率(回)=\frac{売上原価}{平均在庫高(原価)}\times100\\
数量法:商品回転率(回)=\frac{売上数量}{平均在庫高(数量)}\times100}$$
分子と分母の基準を揃える必要がある。
商品回転率を増大させるためには、
- 平均在庫高を一定、売上高を増大
- 売上高を一定、平均在庫高を減少
- 平均在庫高以上に、売上高を増大
商品回転率を上げた場合の、メリット・デメリットは以下となる。
メリット | デメリット |
---|---|
商品の破損を防止 商品の陳腐化による価格下落を避けられる 商品に対する投資が抑えられ、資本効率が向上する 在庫削減による維持費の削減 | 過小在庫による品切れ、機会損失のリスク 発注回数の増大による費用増 |
長期(年間)売上高予測
以下二つの方法がある。
短期(月間)売上高予測
・月別平均法
月間売上高予算 = 年間売上高予算 × 月別季節指数 ÷ 季節指数の合計
在庫高予算
月初の適正な在庫高を算出する必要がある。
基準在庫法(年間商品回転率≦6)
$$月初適正在庫高(売価) = 当月売上高予算 + 基準在庫高$$
$$月初適正在庫高(売価) = 年間平均在庫高 + 当月売上高予算 – 月平均売上高予算$$
回転率の低い買回品に用いる。
百分率変異法(年間商品回転率≧6)
$$月初適正在庫高(売価)=年間平均在庫高\times 0.5\times(1+\frac{当月売上高予算}{月平均売上高予算})$$
回転率の高い最寄品に用いる。
値入高予算
値入とは、商品の売価と原価の差額のこと
値入額 | 売価 |
原価 |
$$売価値入率(\%)=\frac{値入額}{売価}\times100$$
$$原価値入率(\%)=\frac{値入額}{原価}\times100$$
相乗積
部門ごとの粗利益の全体売上高に対する貢献度を判断する指標
$$相乗積=\frac{部門粗利益}{部門売上高}\times\frac{部門売上高}{売上高合計}$$
ストアコンセプト
誰に、何を、どのように売るかという、店舗の基本方針
商品ミックス
ターゲット顧客に対し、商品ラインと商品アイテムを選択すること
商品ラインとは、商品カテゴリの幅、商品アイテムとは、あるの商品の数の深さ(ブランド、素材、色、サイズ、味)のことを指す。
商品ライン(品揃えの幅) | |||
---|---|---|---|
広い | 狭い | ||
商品アイテム (品揃えの深さ) | 深い | 百貨店 | 専門店 |
浅い | 総合スーパー | コンビニ |
- フルライン政策:商品ミックスの幅を広げ広いニーズに対応する政策。
- 限定ライン政策:商品ミックスの幅を狭め特定市場の深いニーズに対応する政策。
商品の仕入方法
大量仕入
1回で同じ商品を大量に仕入れる方法
当用仕入
必要量を少量ずつ仕入れる方法
集中仕入
仕入れ先を集中させる方法
分散仕入
仕入れ先を分散させる方法
本部集中仕入
各店舗の仕入れを本部がまとめて行う方法
店舗分散仕入
店舗ごとに仕入れを行う方法
共同仕入
小売業者らが共同して仕入れを行う方法
買取仕入
小売業者が卸から商品を買い取る仕入れ方法
小売業者が卸から買い取った段階で、所有権が小売業者に移る。
委託仕入
卸が小売業者へ商品の販売を委託する方法
小売業者は商品の所有権を持たない。
売上仕入(消化仕入)
小売業者が販売した分だけ仕入が計上される仕入れ方法
小売業者にて売れ残った商品は卸に戻される。
価格設定
EDLP(Every Day Low Price)政策
恒常的に低価格販売を行う方法
セールなどは行わないため広告費が抑えられる。
プライスライン政策
よく売れる段階別の金額設定を行う方法
3,000円、5,000円、10,000円など購買決定しやすいプライスラインを設定する。
- プライスポイント:最も販売量の多いプライスライン
- プライスゾーン:プライスラインの幅
ISM(インストアマーチャンダイジング)
客単価の増加を行う活動のこと
最初から買うものを決めずに来店する非計画購買が約9割と言われているため、非計画購買者により多くの商品の購買をさせるための策。
目的は、売上高の増大。
売上高 = 客単価 × 来店客数
客単価は以下に分けて考えることができる。
- 商品の単価(アップセル)
- 買上点数(クロスセル⇒頻度や関連購買)
二次試験の事例Ⅱの主要な論点。事例Ⅱでは来店客数を増やすことも論点となる場合があります。
インストアプロモーション
店内で行う販売促進活動のこと
価格主導型
値下げ、クーポン、セット販売などを需要の価格弾力性の高い商品に絞って行う。
問題点として、消費者の参照価格(消費者の経験に基づく価格)の低下を引き起こす危険性がある。
需要の価格弾力性
需要の価格弾力性が高い(1を超える)商品とは、価格が上昇すると需要が減る商品のこと。(価格が10%上がると需要が20%減る商品:価格弾力性「2」)反対に、少しの値差上げで需要が大幅に増えることになる。
需要の価格弾力性が引く商品とは、価格の増減に需要があまり変わらない(1より少ない)商品のこと。
非価格主導型
ノベルティ、サンプル、デモンストレーション販売など。
二次試験の事例Ⅱでは、価格主導型より非価格主導型が論点丹那ることが多いです。顧客との関係性の強化が主論点です。
クロスマーチャンダイジング
関連商品を陳列し合わせ買いを促し、販売促進を行う方法
例えば、肉と焼肉のたれ、野菜とお鍋の元、など。
スペースマネジメント
売場スペースを最大限に活用し客単価を上げる方法
客単価 = 動線長 × 立寄率 × 視認率 × 買上率 × 買上個数 × 商品単価
スペースアロケーション
商品のグループ化、商品の構成、売場面積の配分など効果的に売場レイアウトを設計すること
プロノグラム
POSデータを基に、最適な棚割りを設計すること
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