中小企業診断士試験の1次試験(経済学)に頻出の、効用・需要曲線とスルツキー分解に関する用語をまとめてみました。(ここに記載した内容以外にも、出題論点はあるので参考までに。)
毎年、数問出題される頻出論点です。
計算問題やグラフの読み取り問題が多く出題されます。出題される論点は毎年変化をつけてくるので応用力が問われます。あまり深追いすると時間が掛かるので、まずは基本的な内容を押さえ過去問を繰り返し解き、どのような論点が出題されるか確認し応用力を高めるようにしましょう。
経済学は、2次試験とは無関連です。
効用関数
ある消費パターンで、どれだけ効用を得られるかを示した関数
- 効用:消費により得られる満足度
- 選好:人それぞれの好み
限界効用
x財とy財があった場合、1つの消費量を一定にしもう1つの消費量を1単位増加させたときの効用の増分
無差別曲線
- 同じ効用を得られる消費パターンの組合せを結んだ曲線
- 単調性が成り立っている場合、無差別曲線は右下がり
- 右上にある無差別曲線の方が効用水準は高い
- 無差別曲線は交わらない
単調性:どちらの財も消費量が多いほど効用が高くなること。
単調性が成り立たない場合、無差別曲線は右上がりとなる。所得と労働時間のケースなどがあげられる。
限界代替率
- 1つの財の消費量を1単位減少させたとき、効用水準を一定にするもう1つの財の消費量の増分
- 限界代替率 = 無差別曲線の接線の傾き
予算制約
予算制約線
$$m=P_x x + P_y y \\
y=-\frac{P_x}{P_y}x + \frac{m}{P_y} \\
P_x :x財の価格 、P_y:y財の価格 、\\m:所得$$
予算制約線と軸の面積が、予算集合(所得内で購入可能な組合せ)となる。
最適消費点
- 予算内で効用が最大となる組合せ
- 無差別曲線と予算制約線が接する点
最適消費点では、限界代替率=財の価格比となる。
確実性等価とリスクプレミアムの算出
ある複数の投資機会に関し、それぞれの期待所得と確率から確実性等価とリスクプレミアムを以下手順で算出する。
$$所得期待値=\sum(所得×確率)$$
$$期待効用=\sum(\sqrt{所得}×確率)$$
$$期待効用 = \sqrt{確実性等価}$$
$$リスクプレミアム = 所得期待値 – 確実性等価$$
需要曲線
最適消費点の軌跡を結んだ曲線。
需要の所得弾力性
所得が1%上昇したときの需要量の変化率
$$需要の所得弾力性(\eta)=\frac{需要量(D)の変化率}{所得(m)の変化率}$$
種別 | 需要量の傾向 |
---|---|
上級財 | 所得の増加で消費量が増える η≧1 奢侈品 1>η>1 必需品 |
中立財 | 所得の増加で消費量が変わらない η=1 |
下級財 | 所得の増加で消費量が減る η<0 |
需要の価格弾力性
価格が1%上昇したときの需要量の変化率
$$需要の価格弾力性(\epsilon)=\frac{需要量(D)の変化率}{価格(P)の変化率}$$
- 傾きが緩やかな需要曲線ほど、需要の価格弾力性は高くなる
- 需要曲線の左上ほど、需要の価格弾力性は高くなる
代替財
x財の価格が上昇すると、y財の需要が増加するとき、y財はx財の代替財となる
完全代替財:限界代替率が一定(五百円玉 = 百円玉 × 5 の関係)
補完財
x財の価格が上昇すると、y財の需要が減少するとき、y財はx財の補完財となる
完全補完財:完全な補完関係にあるもの(必ず2つセットで使うもの、靴・手袋・箸など)
ギッフェン財
価格が上昇(下降)したときに、需要が増加(減少)するもの
安すぎる食材は売れない、安すぎるアクセサリーは売れないなど。
イギリスの経済学者。ギッフェン財を発見した人。他にもギッフェン・パラドックスの発見などで有名。
スルツキー分解
価格変化による消費者の効用を、代替効果と所得効果に分解すること
代替効果
x財の価格が低下すると、割安となったx財の消費量が増え、反対に割高となったy財の消費量が減ること
- 割安となった財の消費量は増加
- 割高となった財の消費量は減少
所得効果
x財の価格が低下することで、実質的な所得が増加することになり、消費量が増えること
x財の価格低下(実質的な所得増加)
- 上級財:消費量は増加
- 中立財:消費量は不変
- 下級財:消費量は減少
x財の価格増加(実質的な所得低下)
- 上級財:消費量は減少
- 中立財:消費量は不変
- 下級財:消費量は増加
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