中小企業診断士試験の1次試験(中小企業経営・政策)に頻出の、政策や法律に関する用語をまとめてみました。(ここに記載した内容以外にも、出題論点はあるので参考までに。)
毎年、数問出題される頻出論点です。
基本的に暗記科目です。法改正があった場合は、改正論点が出題される可能性が極めて高いので、必ず最新のテキストを使用するようにしましょう。
中小企業経営・政策は、2次試験とは無関連です。
中小企業基本法
基本理念と基本方針
基本理念として、中小企業者は創意工夫を生かし以下の役割を期待される。
- 新たな産業の創出
- 就業機会の増大
- 市場競争の促進
- 地域経済の活性化
中小企業法の基本方針は以下となる。
- 経営の革新、創業の促進
- 経営基盤の強化
- 環境変化への適応の円滑化
- 自己資本の充実
中小企業の定義
中小企業者の定義:
業種 | 資本金額 | 従業員数 |
---|---|---|
製造業、建設業、運輸業など | 3億円以下 | 300人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
サービス業 | 5千万円以下 | 100人以下 |
小売業、飲食 | 5千万円以下 | 50人以下 |
小規模企業者の定義:
業種 | 従業員数 |
---|---|
製造業など、その他業種 | 20人以下 |
卸売業、小売業、飲食業、サービス業(宿泊・娯楽業を除く) | 5人以下 |
小規模企業振興基本法
小規模企業者に対し、事業の持続的発展を目的として5年ごとの基本計画を策定する。
基本方針と基本計画
基本方針は、以下となる。
- 国内外の需要に応じた事業展開の促進
- 人材育成、確保
- 地域住民の生活向上、交流促進
- 支援体制の整備
基本計画として、4つの目標と10の重点施策を策定する。
- 需要に即した経営促進
- 人材の交流促進
- 地域経済の活性化
- 地域ぐるみでの支援体制の整備
小企業者の定義
中小企業基本法における、「小規模企業者」とは別の定義。
業種 | 従業員数 |
---|---|
全て | 5人以下 |
中小企業等経営強化法
中小企業等強化法では、以下の支援を行う。
- 創業の支援
- 経営革新の支援
- 新連携の支援
- 技術革新の支援
- 地域における支援
- 経営力向上の支援
創業の支援
- これから事業を始めようとする個人
- 創業して5年未満の事業者
に対し特例が講じられる。
経営革新の支援
中小企業者が経営革新計画を作成し、国または都道府県に承認されると支援策を利用できる。
経営革新計画は、付加価値額、経常利益の伸び率を盛り込む必要がある。
経営革新計画 | 付加価値額 | 経常利益 |
---|---|---|
伸び率 | 年率3%以上 | 年率1%以上 |
- 付加価値額 = 営業利益 + 人件費 + 減価償却費
- 経常利益 = 営業利益 - 営業外費用
新連携の支援
2者以上の異分野の中小企業者が新連携計画を作成し、国に承認されると支援策を利用できる。
経営力向上の支援
中小企業者が、事業分野別指針に基づき経営力向上計画を作成し、国に承認されると支援策を利用できる。
経営力向上計画の作成対象者:
- 中小企業
- 小規模事業者
- 中堅企業(資本金10億円以下、または従業員数2,000人以下の会社)
- 中小事業者等(資本金1億円以下の法人、資本が無い法人は従業員数1,000人以下)
中小企業組合制度
中小企業等協同組合法
中小企業者が協同して経済事業を行い、経営資源の相互補完を図り経済的な地位向上を目的とした法律
種別 | 内容 |
---|---|
事業協同組合 | 中小企業者による共同経済事業 |
企業組合 | 組合 = 一企業 |
中小企業団体組織法
中小企業者が協同して事業を行い、公正な機会の確保を目的とした法律
種別 | 内容 |
---|---|
協業組合 | 生産、販売を協業し事業を行う (生産設備の共同導入、共同での仕入れなど) |
商工組合 | 業界全体の改善を行う |
商店街振興組合法
商店街を形成する小売業、サービス業などが協同して地域環境整備を行うことを目的とした法律
設立要件は以下となる。
- 小売業、サービス業の事業者が30人以上近接している
- 1地区に1組合
- 組合員の資格のある者の3分の2が組合員となり、2分の1以上が小売業またはサービス業の事業者
下請代金支払遅延等防止法
下請事業者の保護を目的とした、下請代金の支払い遅延などの防止のための法律
公正取引委員会および中小企業庁が、親事業者の義務、禁止行為、罰則を定める。
対象の業務と企業
政令で定める情報成果物作成委託、役務提供委託(プログラム作成、運送、物品の保管、情報処理)
親事業者 | 下請事業者 |
---|---|
資本金3億円超 | 資本金3億円以下 |
資本金1,000万円〜3億円 | 資本金1,000万円以下 |
上記以外
親事業者 | 下請事業者 |
---|---|
資本金5,000万円超 | 資本金5,000万円以下 |
資本金1,000万円〜5,000万円 | 資本金1,000万円以下 |
親事業者の義務と禁止事項
親事業者の義務:
- 注文時に直ちに注文書を出すこと
- 注文した内容を記載した書類を2年間保管すること
- 品物を受け取った日から60日以内で、かつなる早で支払期日を定めること
- 60日を過ぎて支払わなかった場合、60日後から支払った日までの日数に遅延利息(年率14.6%)を加算して支払うこと
親事業者の禁止行為:
受領拒否、支払遅延、代金の減額、返品、買いたたき、購入・役務の強制、報復など
中小企業に適用される税制
資本金1億円以下の法人企業は、軽減税率が適用される
法人税法では、資本金1億円以下の企業を中小企業とする。
- 交際費等の年800万円まで、もしくは接待飲食費の50%のどちらかを損金算入可
- 年所得800万円以下は、法人税の軽減税率が適用される
高度化事業
中小企業者の共同事業(工場、商店街の整備、共同施設の整備など)に対し、都道府県と中小企業基盤整備機構が事業の診断アドバイスと融資を行うもの
診断は、原則都道府県が実施する。
融資の内容は以下となる。
事業の範囲 | 貸付者 |
---|---|
A:1つの都道府県内 | 都道府県 |
B:2つ以上の都道府県 | 中小企業基盤整備機構 |
項目 | 内容 |
---|---|
融資対象 | 建物、土地、設備 |
貸付限度 | なし(原則80%以内) |
貸付期間 | 20年以内 |
JAPANブランド育成支援事業
中小企業、小規模事業者が4者以上の共同で行う海外販路開拓に対し、国が経費の一部を補助するもの
種別 | 支援内容 |
---|---|
基本戦略策定への支援 | 上限200万円 1年間 |
ブランド確立への支援 | 上限2,000万円、3分の2以内 最大3年間 |
中小ものづくり高度化法
中小企業者の高度化のための研究開発に対し国が支援を行うもの
製造業の国際競争力の強化、新事業の創出を目的とする。
スキーム:
- 経済産業大臣が指針(特定ものづくり基盤技術)を策定
- 中小企業者は指針に基づき研究開発計画を作成
- 経済産業大臣が認定
- 各種支援策の適用
農商工等連携促進法
中小企業者と農林漁業者との連携による事業活動の促進に関する法律
スキーム:
- 国が基本方針を定める
- 事業計画を作成
- 中小企業者と農林漁業者が共同で農商工等連携事業計画を作成
- NPO法人が農商工等連携支援事業計画を作成
- 国が認定
- 各種支援策の適用
支援内容:
試作品開発、展示会出展等の費用の一部を補助。また、融資など支援措置。
有限責任事業組合
共同事業のための組合制度
- 組合員は出資した額の範囲までの責任を負う(有限責任制)
- 損益や権限の比率は出資比率に比例しない
- 構成員課税が適用される
中小企業地域資源活用促進法
中小企業による地域産業資源を活用した事業活動の促進に関する法律
スキーム:
- 国が基本方針を定める
- 都道府県が基本方針に基づき地域資源を指定
- 農林水産物、産地の技術、観光資源
- 中小企業者が地域産業資源活用事業計画を作成
- 都道府県経由で国に申請
- NPO法人が地域産業資源活用支援事業計画を作成
- 国に直接申請
- 申請されたものを、国が認定
- 各種支援策の適用
小規模事業者経営改善資金融資制度
商工業者に対する、日本政策金融公庫が行う無担保・無保証人・低利(基準金利より低い)の融資制度
対象:
- 従業員が20人以下の法人、個人事業主
- 宿泊・娯楽業を除く商業・サービス業は5人以下
条件:
- 商工会の経営指導を6ヶ月以上受けていること
- 同一地区で1年以上事業を行なっていること
- 商工業者であること
- 税金を完納していること
日本政策金融公庫
日本に5つある政策金融機関(国が100%出資)の一つで、財務相所管の特殊会社。旧、国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫が前身。
起業家への融資に積極的なのが特徴で、民間金融機関が融資しない融資に対しても対応している(補完金融)。
小規模企業共済制度
小規模企業共済法に基づく、小規模企業者の経営者の退職金共済制度のこと
対象者:
- 従業員が20人以下の個人事業主、共同経営者、会社の役員
- 宿泊・娯楽業を除く商業・サービス業は5人以下
- 組合員20人以下の企業組合の役員
- 従業員20人以下の協業組合、農事組合法人の役員
経営継承法
中小企業の経営の継承の円滑化のための、金融支援、税制措置を行う法律
金融支援
都道府県知事の認定を受けた場合、日本政策金融公庫による貸付等の支援が行われる。
税制措置
以下の条件で相続税・贈与税の納税が猶予される。
- 都道府県知事の認定を受けていること
- 非上場株式の相続・贈与による継承
- 従業員を5年平均で8割以上を維持すること(端数切り捨て)
- 後継者が保有する株式総数の3分の2まで
中小企業倒産防止共済制度
中小企業の連鎖倒産を防ぐため、中小企業基盤整備機構が運営する共済制度
取引先企業が倒産し、売掛金・受取手形などの回収が困難となった額と、積み立て掛金総額の10倍の額のうち、少ない額(8,000万円以下)を無担保、無保証人、無利子で貸付を受けられる。
対象:
- 1年以上継続して事業を行なう中小企業者
- 掛金納付月数が6ヶ月以上ある
女性、若者、シニア起業家支援資金
女性、若者、シニアで新規開業7年以内の者に対し、日本政策金融公庫が行う優遇金利制度
対象:
- 女性
- 若者(35歳未満)
- 高齢者(55歳以上)
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