中小企業診断士は、幅広いビジネススキルを習得可能な資格として、社会人の間で人気の資格ですが、合格率は20%ほど、ストレート合格率は4%ほどの難関資格です。
日本の企業の99%が中小企業であるという実態から、公認会計士などよりもより実務に即した資格と言われています。
中小企業診断士の年収・職業は?
職業
中小企業診断士の資格保有者の職業は、統計上5割が企業内での診断士業務を行い、残りの5割がプロコンサルタントとして診断士業務を行なっていると言われています。
年収
中小企業診断士の資格保有者の年収は、5割が800万円越え、3割超がⅠ,000万円越えの高給取りです。
500万円以下 | 30% |
---|---|
500万円〜800万円 | 20% |
800万円〜1,000万円 | 15% |
1,000万円以上 | 35% |
年齢層
情報が古いかもしれませんが、7割以上が40歳代以上の年齢の方と言われています。ただ、合格率で言うと20歳代、30歳代が最も多くなります。
中小企業診断士試験概要
一次試験
試験科目
科目 | 時間 | 配点 |
---|---|---|
経済学・経済政策 | 60分 | 100点 |
財務・会計 | 60分 | 100点 |
企業経営理論 | 90分 | 100点 |
運営管理 | 90分 | 100点 |
経営法務 | 60分 | 100点 |
経営情報システム | 60分 | 100点 |
中小企業経営・政策 | 90分 | 100点 |
合格ライン
総得点の60%以上、かつ40%未満の科目が1つもないこと
※科目合格
科目ごとの得点が60%以上であること
一次試験の免除
科目合格による免除
科目合格した科目は3年間(翌年と翌々年)免除
他資格保有による免除
免除科目 | 資格 |
---|---|
経済学・経済政策 | 経済学の教授・准教授、経済学博士、公認会計士試験で経済学を合格した者、不動産鑑定士、不動産鑑定士補 |
財務・会計 | 公認会計士、会計士補、税理士、税理士試験免除者 |
経営法務 | 弁護士、司法試験合格者、 |
経営情報システム | 技術士(情報工学部門登録者に限る)、情報工学部門に係る技術士となる資格を有する者、システムアナリスト、アプリケーションエンジニア、システム監査、プロジェクトマネージャ、ソフトウェア開発、第1種、情報処理システム監査、特種、ITストラテジスト、システムアーキテクト、応用情報技術者 |
上記資格を保有している場合、科目免除をすることで試験範囲を絞れ他の科目に勉強時間を充てることができます。ただし、必ずしも科目免除をする必要はなく、合格基準が総得点の60%なので、得意科目として得点源とする方は多くいます。
二次試験
筆記試験
科目 | 時間 | 配点 |
---|---|---|
事例Ⅰ 組織・人事 | 80分 | 100点 |
事例Ⅱ マーケティング・流通 | 80分 | 100点 |
事例Ⅲ 生産・技術 | 80分 | 100点 |
事例Ⅳ 財務・会計 | 80分 | 100点 |
面接
中小企業の診断および助言に関する能力について、筆記試験の事例などをもとに、個人ごとに約10分間の面接試験(3対1)
合格ライン
筆記試験:
総得点の60%以上、かつ40%未満の科目が1つもないこと
面接:
評定がの60%以上であること
合格率と試験内容
合格率
中小企業診断士の合格率は、過去6年の平均で一次試験は22.3%、二次試験は20.9%です。
年度 | 一次試験 (合格者/受験者) |
二次試験 (合格者/受験者) |
---|---|---|
2012 | 23.5% (3,519/14,981) |
25.0% (1,220/4,878) |
2013 | 21.7% (3,094/14,252) |
18.5% (910/4,907) |
2014 | 23.2% (3,207/13,805) |
24.3% (1,185/4,885) |
2015 | 26.0% (3,426/13,186) |
19.1% (944/4,941) |
2016 | 17.7% (2,404/13,605) |
19.2% (842/4,394) |
2017 | 21.7% (3,106/14,343) |
19.4% (828/4,279) |
二次試験を受けている人の中には、一次試験免除者も含まれるため、ストレート合格率は4%ほどの難関資格です。大半の人が2年、3年と勉強して来ている人となります。
試験内容
一次試験
経済学・経済政策
★★★ 二次無関連
- 計算問題はほとんど出ない
- グラフ問題が多い
マクロ経済学、ミクロ経済学の内容が出題されます。証券アナリスト試験や公認会計士試験の経済学と比べると難易度は低くなります。中小企業診断士試験では計算問題はほとんど出ません(微分の公式が出るくらい)。グラフを見て解く問題が多く出題されるのも特徴です。
年度 | 科目合格率 |
---|---|
2013年 | 2.1% |
2014年 | 19.4% |
2015年 | 15.5% |
2016年 | 29.6% |
2017年 | 23.4% |
財務・会計
★★★ 二次事例Ⅳ
- 計算問題が多い
- 二次試験でも出題されるため応用力が必要
財務会計、管理会計、ファイナンスなど、財務諸表等の数値の理解と分析。計算問題が多く、二次試験の事例Ⅳにも出題される内容のため応用力が求められる。暗記だけでは難しく、過去問や計算問題集での学習が必須となる。
年度 | 科目合格率 |
---|---|
2013年 | 16.6% |
2014年 | 6.1% |
2015年 | 36.9% |
2016年 | 21.6% |
2017年 | 25.7% |
企業経営理論
★★★ 二次事例Ⅰ/Ⅱ
- 暗記科目
- 独特の言い回しに慣れるため過去問必須
経営戦略論、組織論、マーケティング論など企業経営の基本知識。管理職や経営企画などの職の方には馴染みが深い内容で、企業経営の分析や事業戦略など幅広い知識が問われる。基本的に暗記科目だが、出題文章に独特の言い回しが多く過去問の学習が必須。
年度 | 科目合格率 |
---|---|
2013年 | 6.8% |
2014年 | 13.4% |
2015年 | 16.7% |
2016年 | 29.6% |
2017年 | 9.0% |
運営管理
★★★ 二次事例Ⅱ/Ⅲ
- 暗記科目
- 過去問必須
企業経営の現場で必要となる、生産管理や店舗・販売管理の知識が問われる。暗記科目となるので、参考書と過去問の繰り返しが必須。
年度 | 科目合格率 |
---|---|
2013年 | 10.5% |
2014年 | 17.8% |
2015年 | 20.5% |
2016年 | 11.8% |
2017年 | 3.1% |
経営法務
★★★ 二次無関連
- 暗記科目、過去問必須
- 会社法、知的財産権で出題の約6割を占める
企業経営に関する法律や知的財産権に関する問題。出題範囲が広く浅く、専門用語が多い暗記科目。
年度 | 科目合格率 |
---|---|
2013年 | 21.1% |
2014年 | 10.4% |
2015年 | 11.4% |
2016年 | 6.3% |
2017年 | 8.4% |
経営情報システム
★★★ 二次全般
- 暗記科目
- 過去問必須
情報通信技術に関する知識と経営情報管理システムに関する知識が問われる。過去は得点源となる科目と言われていたが、近年で急激に難化の傾向にある科目。古い知識を問う設問が増えた傾向がある。
年度 | 科目合格率 |
---|---|
2013年 | 51.8% |
2014年 | 15.0% |
2015年 | 6.4% |
2016年 | 8.5% |
2017年 | 26.6% |
中小企業経営・政策
★★★ 二次無全般
- 暗記科目
- 過去問必須
その名の通り中小企業の経営や政策について、中小企業白書の内容や中小企業の実態、統計情報が問われる暗記科目。
年度 | 科目合格率 |
---|---|
2013年 | 16.9% |
2014年 | 31.1% |
2015年 | 12.2% |
2016年 | 12.5% |
2017年 | 10.9% |
二次試験
事例Ⅰ | 組織、人事、企業戦略 |
---|---|
事例Ⅱ | マーケティング、流通 |
事例Ⅲ | 生産、技術 |
事例Ⅳ | 財務、会計 |
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